「日本は男尊女卑政権」は本当か?(世界各国の男女賃金格差比較とイスラム世界を描いた映画『少女は自転車に乗って』)

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「日本は男尊女卑政権」は本当か

「安倍政権は男尊女卑政権」なる言葉が国会で飛び出たようです。

5月16日の衆院予算委員会で、質問に立った民進党の山尾志桜里政調会長が安倍晋三首相について「女性活躍どころか男尊女卑政権だ」と批判したことに対し、安倍首相が「山尾さん、誹謗中傷ですよ」とやりあう場面があった。(…中略)

山尾氏は質問の終盤で、保育士の給与を全産業の女性労働者の賃金を基準に「月額4万円程度であることを踏まえ、賃金差がなくなるよう処遇改善を行っていく」と安倍首相が述べたことについて、「このままいったら女性活躍政権どころか、男尊女卑政権だと言われますよ」と批判した。

出典:ハフィントン・ポスト 山尾志桜里氏「女性活躍どころか男尊女卑政権だ」 安倍首相「山尾さん、誹謗中傷ですよ」

さてネットないしマスコミでは「安倍政権は男尊女卑政権」なるドギツイ言葉ばかりが騒がれているわけですが、そもそも「日本では保育士の賃金、そして男女間の賃金格差が大きい」ということがこの発言の本質のはず。

そこで、今回は様々な観点から「世界各国の男女の格差」について調べてみます。

・日本はOECDで3番目に男女賃金格差が大

まずは世界34か国が所属するOECD(経済協力開発機構)における男女の賃金格差を参照して見ましょう。OECDに所属するのは主に先進国ですから、比較してみると、日本の先進国における男女格差の立ち位置がよくわかるはずです。

すると、日本の男女賃金格差はOECD加盟国内で3番目に大きいということがわかりました。

・フルタイム雇用者における男女賃金の世界各国比較(2015年)

※数値の説明・・・・世界各国の男女の中央値年収(統計的な特性として、平均年収より実態に近い数値が出る)を比較。

例えば女性の中央値年収が男性の中央値年収の70%であった場合、出て来るスコアは100-70=30。すなわち、数値が大きいほど格差が大きいということになる。

・図

gendergap

出典:OECD “gender wage gap 2015” を元に一部画像改変

・表

韓国 36.65
エストニア 26.6
日本 26.59
イスラエル 21.83
オランダ 20.43
フィンランド 20.18
トルコ 20.07
カナダ 19.23
メキシコ 18.3
オーストリア 18.0
アメリカ合衆国 17.45
イギリス 17.38
チリ 16.67
ポルトガル 16.67
スイス 16.51
チェコ 16.13
OECD平均 15.26
スウェーデン 15.13
アイスランド 14.53
スロバキア 14.35
フランス 13.67
ドイツ 13.38
ラトビア 13.33
スロベニア 12.77
ギリシャ 11.27
イタリア 11.11
ポーランド 10.62
スペイン 8.65
リトアニア 6.96
デンマーク 6.77
ルクセンブルグ 6.49
ノルウェー 6.28
ベルギー 5.91
ニュージーランド 5.62
ハンガリー 3.77

・「世界男女格差指数」から見える日本の男女格差の立ち位置

このOECDのデータでは当然のことながら世界各国の比較が行えません。

そこで、今度は世界経済フォーラムに毎年発行している「世界男女格差指数(Gender Gap Index)」を参照してみました。この指数は所得格差などなど”経済活動の参加と機会”のほか、”教育”、”政治参加率”、健康と生存など全部で14もの項目からなる複合的なものとなっています。

・世界男女格差指数:図 (1.0に近いほど男女格差が小さい)

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1200px-Gender_Gap_Report_2012.svg

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1200px-Gender_Gap_Report_2.svg

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・男女格差指数:表(1位~25位までの上位国と、日本の近辺にランクした国を表示。調査対象全133ヵ国)

順位 国名 地域
1 アイスランド ヨーロッパ・中央アジア
2 フィンランド ヨーロッパ・中央アジア
3 ノルウェー ヨーロッパ・中央アジア
4 スウェーデン ヨーロッパ・中央アジア
5 アイルランド ヨーロッパ・中央アジア
6 ニュージーランド オセアニア
7 デンマーク ヨーロッパ・中央アジア
8 フィリピン 東南アジア
9 ニカラグア 北米
10 スイス ヨーロッパ・中央アジア
11 オランダ ヨーロッパ・中央アジア
12 ベルギー ヨーロッパ・中央アジア
13 ドイツ ヨーロッパ・中央アジア
14 レソト アフリカ
15 ラトビア ヨーロッパ・中央アジア
16 南アフリカ アフリカ
17 ルクセンブルク ヨーロッパ・中央アジア
18 イギリス ヨーロッパ・中央アジア
19 キューバ 北米
20 オーストリア ヨーロッパ・中央アジア
21 カナダ 北米
22 アメリカ 北米
23 モザンビーク アフリカ
24 ブルンジ アフリカ
25 オーストラリア オセアニア
99 アゼルバイジャン 中東
100 マレーシア 東アジア
101 日本 東アジア
102 ベリーズ 北米
103 カンボジア 東アジア
104 ブルキナファソ アフリカ
105 インド 中央アジア
106 スリナム 南米
107 アラブ首長国連邦 中東
108 韓国 東アジア
109 クウェート 中東
110 ナイジェリア アフリカ
111 バーレーン 中東
112 カメルーン アフリカ
113 フィジー オセアニア
114 ザンビア アフリカ
115 カタール 中東

この男女格差指数を見ても、先ほどのOECD諸国のデータのみならず、日本は東南アジアや中東、アフリカなどといった地域の諸国と同じように、世界でも有数の男女格差の大きい国だということがわかります。

さて日本と似た位置にランクするような国を見ると、インド等の中央アジア、またはアラブ首長国連邦やクウェート、バーレーンなど中東諸国が挙げられますが、これら諸国に存在する慣習として「名誉殺人」というもののがあるのを知っていますか。

この「名誉殺人」がある地域では、女性は、婚前交渉はおろか、自由恋愛は認められていません。それどころか、そもそも異性と話したり、下手すると男性と話したり、男性を見ただけで親に殺されます。国連によれば「名誉殺人」は毎年5000件以上起こっています。

さて、この「名誉殺人ないし」をうまく描いたものとして、『少女は自転車に乗って』という映画があります。

https://www.youtube.com/watch?v=6omGPcZjBZ4

この映画、一見したところではサウジアラビアに暮らすごく普通の少女の恋愛模様を描いた、さわやかな感じの恋愛映画の佇まい。

しかしその実、イスラム世界に溢れる女性蔑視観を深く描き出したものとなっており、作中、女性は流行歌を聞いてはいけない(流行歌は恋愛に関するものばかりだから)、生理中はコーランを素手で読んではいけない、学校でも男子生徒から見えない位置にいなければならない、女子は自転車に乗ってはいけないだとか、ポップな劇中にそこかしらの「違和感」が生まれるような作りとなっています。

話しは戻りますが、それにしても、このような因習が残る国々と日本は「男女格差指数ランキング」が同じレベルだとすると(「少女は自転車ー」のサウジアラビアは格差ランキングでは日本よりさらに1歩悪い所に位置していますが)、一体日本という国はどうなっているんだとになってきますね。

そう、例えば僕が学生時に知り合った留学生は以前「なんで日本の女性の大学教授って、男性教授の前でワザとバカっぽく媚びたポーズを取るの?処世術なの?そうしないと生きていけない世界なの?」みたいなことを言っていました。

もちろん1例だけを取り出して全体を語るのもバカバカしいですけど、しかし、我々が日常的に親しんだこの世界も、それはただの「慣れ」で気が付かないだけで、他の世界の人から見れば極めてグロテスクな世界が広がっているのでしょうか。

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