OECDが警告「再分配を強化しないと今後、日本もアメリカのような超格差社会になる」

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2060年、このままでは先進諸国にアメリカ並みの格差が押し寄せる

ヨーロッパ諸国を中心に日・米含め34 ヶ国の先進国が加盟する国際機関、OECD(経済協力開発機構)は、2014年に出したレポート“Shifting Gear: Policy Challenges for the next 50 Years”において「再分配政策を行わないと、50年後、日本・ヨーロッパ諸国ではますます格差が拡大、現在先進国で最も格差が激しいアメリカ並みの格差が各諸国に訪れるようになる」と結論付けました。

日本語版も『今後50年間の政策課題』というタイトルで出ています

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アメリカの格差社会が強烈なのは、トップ1%の人間がアメリカ全土の40%以上の富を保有している事実から容易にうかがい知れます。

⇒・アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ

そして最近では経済面だけでなく、健康面でもすさまじい格差があらわになっていることが最近の研究でわかってきました。 例えばワシントン大学IHMEのサンディープ・カルカーニ氏らの研究によれば、アップルやグーグルの本社があるカルフォルニア州、またはジョンソン&ジョ ンソン、ファイザー、AT&Tなどテクノロジー系企業の本社があるニュージャージー州など裕福な州の平均寿命(男性)は82歳。一方ミシシッピ州やケン タッキー州など中南部の貧困地帯では平均寿命が64歳。同じ国なのに裕福な地域と貧困地域によって実に18年もの寿命の差があります

図.アメリカの地域別平均寿命(男性)

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この平均寿命64歳という数字は、他の先進諸国より劣るのはもちろんのこと、実はラオス、エチオピア、北朝鮮、ミャンマーといった貧困と飢餓に苦しむ最貧国の平均寿命よりも下回ります・・・

アメリカの格差が進んだのは1970年代からですが、70年代当時はもちろんこんな露骨な寿命格差などありませんでした。

「スキル偏向型技術進歩」により奪われる仕事

さて格差の背景としてあるのは、現在、先進国諸国の格差拡大の主原因となっている「スキル偏向型技術進歩(SBTC, skill biased technological change)」という概念。

これは簡単に言えば「技能の持つ人間はますます高給を得やすく、技能の持たない人間はますます安給に苦しむようになる」ということです。

図.ほとんどの国で高技能労働者への需要が高まっている

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(『今後50年間の政策課題』から、図を一部翻訳して引用)

このサイトでは以前「今後20年間で今ある仕事の約半数が消える」という記事を紹介しました。とはいえこれは未来の出来事ではなく、すでに現在進行中で起こっている現象です。

(参考文献としてタイラー『大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか』、ディートン『大脱出―健康、お金、格差の起原』など)

以前紹介した記事では、紹介した論文を元に今後消えやすい仕事として①事務②窓口係③秘書④会計処理⑤小売サービス業⑥資産分析⑦テレマーケッターなどを挙げました。

これは例えば事務や秘書、会計処理などでいうとオフィスソフトの普及でこれまでのような専門性ある人材が必要なくなった、また小売りサービスでいうとアマゾンなど通販サイトの台頭がといったように、これら消えやすいとされる仕事の共通点として「IT化、オートフォーメーション化が進むことで専門性のある人が必要なくなる。仮に必要とされてもこれまでよりは賃金がはるかに安くなる」といったことが挙げられます。

これらの仕事を担う人々は20世紀の世界では中間層を形成していました。しかし現在進行中でIT化によってこれらの人々は職を奪われ、結果中間層は消滅の一途をたどっているのがその現状。

今後、機械による置き換えが進む世界で中間層以上として残る仕事としては、例えば理系の大学院まで出た人が就く研究開発、そのほか○○士、○○師といった資格業など非常に限られているといわれています。

そしてこれら専門能力を持った人々が今以上の所得を手にする可能性が高い一方で、機械によって仕事を奪われた人がつく仕事は、置き換えるより人間にやらせたほうがコストが安くつく単純作業というわけで、結果、数少ない高収入層と残りの大多数の低収入層への2極化がよりいっそう進むようになるといわれています

もちろんこれは極度に単純化した図式ですが、大まかな傾向としてはそれほどまちがっていません。

加えて格差化の説明としておなじみのグローバル化もあるでしょう。例えばアメリカでは現地パソコン会社のサポートセンターにつなぐとインドにつながるそうですが、これはインドは元々英国植民地だから英語を話せる人が多く、しかも賃金もアメリカに比べ安いため、インドにサポートセンターが移設されたから起きているわけです。

これなどはヒトのグローバル化の一例。インドにコールセンターが移設されることによって、コールセンターが元々あったアメリカからは雇用が消えてしまいました・・・。そしてコールセンターのインドへの移転が容易とさせたのが通信サービス網の発達によるように、IT化とグローバル化は密接な関係にあります。

格差を食い止めるのに重要なのは再分配政策なのに・・・

さて、ということで日本でも再分配の強化が求められるわけです。しかしこれはこの記事をご覧の皆さんにはご存知かと思いますが、日本は所得再分配が小さいため、再分配後により格差が開き不平等な状態になっている国なんです(下図)。社会保障とは一体なんなんでしょうか。実に頭が痛くなってきますね…。

図.所得再分配後にむしろ格差が開き不平等になるのが日本

(図は東洋経済の記事より引用)

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参考文献

Sandeep C Kulkarni, Alison Levin-Rector1, Majid Ezzati and Christopher JL Murray(2011) “Falling behind: life expectancy in US counties from 2000 to 2007 in an international context” POPULATION HEALTH METRICS

太田 清(2006)「日本の所得再分配―国際比較でみたその特徴」

東洋経済オンライン(2009)「貧困層をより貧しくする日本の歪んだ所得再分配」

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