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ウサイン・ボルト始め、なぜジャマイカ人は足が速いのか?背景に暗黒の歴史が

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ウサイン・ボルト始め、なぜジャマイカ人は足が速いのか?背景に暗黒の歴史が

volt

出典元:AFP通信

ウサイン・ボルトをはじめ、ジャマイカ出身の有名なアスリートは多い。この人口わずか270万人の小国がなぜこれほど優れた人材を多数輩出できるのか。ジャマイカ人が足が速いことには、何か特別な理由があるのだろうか?過去に遡ってみてみると、これにはいくつかの理由があるようだ。

パワフルなスプリンターの一つの要因として、アンジオテンシン変換酵素(通称ACE)とα-アクチニン-3(通称ACTN3)が関係していることがわかっている。くわえて、ACEの遺伝子を持つ人は一般的な人と比べ心臓から筋肉へ血液を送る力が強く、その速度も速いことがわかっている。つまり、トレーニングによる効果や回復が速いということを意味している。一方ACTN3遺伝子は筋肉を強くさせる。

そしてこの2つの遺伝子の所有者は西アフリカの人たちが多く、西アフリカは能力の高いスプリンターを排出しているが、さらにジャマイカ人は西アフリカの人々よりもこれら遺伝子を所有する人が多い。

これは興味深い事実だ。そしてその背景には第1に人類の暗い歴史が関係している。

ヨーロッパ諸国がかつて行なっていた奴隷売買では、実に1000万人もの人々が強制的にアフリカから追い出され、アメリカ大陸各地に送られた。全く身動きが取れないスシ詰め状態、劣悪な衛生環境という状態で、移送だけで十分の一、100万人以上もの人が亡くなっている。

Map_Jamaica

そして奴隷船の最後の寄港地はジャマイカも位置する、中南米のカリブ海だった。だから、奴隷移送の長く過酷な道のりをえて最終地点まで辿りつけた者達は、生き残りセレクションで普通の人よりも優れているのではないかということである。

さらにジャマイカ人が足が速い理由については、「土」の違いがあげられる。西インド大学の研究によれば、ウサイン・ボルトやベロニカ・キャンドルを含めた多くのジャマイカ人アスリートは、土壌にアルミニウム鉱石を含んだ島の出身であることがわかっている。

ジャマイカ出身のアスリートの母親たちも、アルミニウムを多く含んだ土壌で育てられた食物を食べ、それは当然お腹の中の赤ん坊へも影響する。それが一つの要因となって、ジャマイカ出身のアスリート達の特別な筋肉が作られているのではないかという。

現在、私たちは自然環境について様々な問題を抱えている。すなわち、温暖化、貧困、各種汚染などだ。長期間の研究の結果、これらの問題が自然環境に対し様々な問題を引き起こすことがわかっている。

これらの問題を食い止めることは簡単ではないが、せめてこれらの問題が加速するスピードを遅める努力をすることが大切だ。それによって、将来能力のあるアスリートを生み出すことが可能かもしれないし、もしかすると、ボルト以上に才能のある選手を生み出すことがあるのかもしれないのだから…。

参考文献

AFP通信、ボルトが男子100mで金メダル、ガトリン破る―第15回世界陸上、2015年08月23日

[theguardian.com]

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