機械によって奪われる可能性のある仕事
オックスフォード大学マーティンスクールのカール・ベネディクト・フライとマイケル・A・オズボーンの両氏は、2013年に「コンピューター(ロボット化・機械化)により消える可能性のある仕事」と題する調査論文を報告しました。
両氏によれば、今後20年間で、現在のアメリカにおける雇用の47%がコンピューターに取って代わられる可能性があるとのこと。
論文ではおよそ700にわたる職業に関して、コンピューターに代わられる可能性が吟味されました。下グラフは文中にて提示された、今後ロボット化される可能性のある仕事を示したものであり、右に位置するほどコンピューターに代替される可能性が高く、一方で左に位置するほど代替される可能性が低い仕事となっています。
グラフからもわかる通り、事務および秘書業務、サービス業、営業、小売業、製造業などはコンピューター化の影響を受けて消える可能性が高く、その一方で、経営、財務、金融、エンジニア、科学、教育、法律、芸術、ヘルスケア業務などはコンピューターによる影響は少ないとされています。
機械に代替される仕事・されない仕事ランキング
加えて論文中で示された、コンピューターの影響を受け消える可能性の高い仕事TOP30と低い仕事TOP30を紹介します。
・コンピューターに代替される可能性の高い仕事TOP30
(702位が機械化による代替可能性が最も高い)
673位 無線通信士
674位 営業
675位 保険金支払担当
676位 部品販売
677位 資産分析
678位 削り盤工
679位 配送業
680位 物品調達係
681位 非熟練機械作業労働
682位 銅版画工、彫刻師
683位 銀行窓口係
684位 スポーツの審判
685位 自動車損害の保険鑑定
686位 融資担当
687位 注文スタッフ
688位 仲買業
689位 保険給付支払い手続き業
690位 組み立てライン工
691位 データ入力
692位 司書
693位 会計処理
694位 写真作成・加工オペレーター
695位 税務申告書作成
696位 貨物運送代理店
697位 時計修理業
698位 保険引受け業務
699位 数学技能士
700位 裁縫業
701位 タイトル調査・新作業
702位 テレマーケッター
続いて、コンピューターに代替されにくい仕事TOP30を紹介します。
・コンピューターに取って代わられる可能性の低い仕事TOP30
1位 レクリエーションセラピスト
2位 一線級の技術者、修理工
3位 緊急事態の管理監督者
4位 精神ソーシャルワーカー、薬物乱用ソーシャルワーカー
5位 聴覚医療士
6位 作業療法士
7位 義肢装具士
8位 医療ソーシャルワーカー
9位 口腔外科
10位 消防職の管理職
11位 栄養士
12位 ホテル支配人
13位 振り付け師
14位 セールスエンジニア(技術的な知識を持つ営業職)
15位 内科医、外科医
16位 教育コーディネーター
17位 心理学者
18位 警察と探偵職の管理職
19位 歯科医師
20位 特別学級以外の小学校教員
21位 疫学以外の医療研究者
22位 小中学校の教育行政者
23位 足病医
24位 心理カウンセラー
25位 精神カウンセラー
26位 繊維衣料製作職人
27位 ディスプレイデザイナー
28位 人事管理
29位 レクリエーションワーカー
30位 トレーニングマネージャー、開発マネージャー
機械化されにくい技術をいかに溜め込むかが重要
こうやって見ると、「機械に代替されやすい/されにくい仕事」にある一定の方向性が見えてきそうです。
すなわち、機械に置き換えが簡単な単純労働が消えていく一方で、機械化や海外移転が困難な仕事、例えば人間の創造性に頼るところが大きい仕事(芸術関係)、人と接しその上で人の繊細な部分を扱う仕事(医療関係)、複数の高度な知識を抱える仕事(エンジニア系)は残るということでしょうか。
要するに今後の人々により求められるのは、「いかに技術力を溜め込むか」ということだと言えるようです。まあ古典的なことですが、それの重要性がより増してくる、ということですね。
さて最後に、論文を記した両教授による「今後の社会で生き残るためのアドバイス」を記して終わりにしたいと思います。
For workers to win the race, however, they will have to acquire creative and social skills.
(競争に勝つためには、クリエイティブ性と社会性を持ち合わせることが必要だ)
参考文献