スナッチャーに影響されたサイバーパンク・アドベンチャー『Read Only Memories』
【なるほどインデーズゲーム&マニアックス(なるマニ)】は、知る人ぞ知る最近のインディーズゲームや、忘れ去られていった過去のゲーム関連機器・サービスなどを紹介していくコーナーです。
今回ようやく連載2回目。
前回:ファミコンやスーファミで馬券購入。JRA-PATサービスの終了とその歴史
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さて今回紹介するのは「MidBoss Games」によるアドベンチャーゲーム『Read Only Memories (リード・オンリー・メモリーズ)』。現在SteamほかでPC英語版が配信中です。
ゲームは2064年のネオ・サンフランシスコを舞台としたテキスト選択式のアドベンチャーゲーム。友人の失踪の原因を追って事件へと巻き込まれていく主人公を描いた作品となっています。
この作品はわざわざ公式サイトでも述べている通り、「メタルギア」シリーズでおなじみの小島秀夫監督の初期作品『スナッチャー(PC-8801ほか)』を目指して作られたとのこと。
なるほど確かに、「選択式アドベンチャー」「80年代後半から90年代初頭のコンピューターゲームを思わせるグラフィック」「愛嬌あるロボットのキャラクター」「近未来都市という舞台設定」などなど、スナッチャーを思わせるような箇所が随所にみられます。
その一方でスナッチャーと明確に一線を引く部分もあり、スナッチャーが映画『ブレードランナー』や同映画が属する映画ジャンル「サイバーパンク」へのオマージュ色が強く、サイバーパンクそのままに退廃的で陰鬱なトーンの下、グロテスクで凄惨なシーンが描かれていくのに対し、本作では明るいトーンが多く凄惨なシーンはそれほどみられない様子。
例えば『ブレードランナー』の舞台が、酸性雨が常に降りしきり昼でもネオンが付いているロサンゼルスであるように、サイバーパンクが作られた背景には公害の発生や石油など資源の枯渇、または経済停滞と豊かになりすぎて生きる意味を失った先進国の人々など、暗く陰鬱な70年代の社会時事がありました。
・ブレードランナー
一方本作『Read Only Memories』はむしろ、抜けの良いスネアドラムとシンセサイザーによるBGM、パステルカラーの明るいグラフィック、ビデオテープ風のPVなど、さまざま要素がサイバーパンクが流行した80年代を思わせます。
中でもPVは色合いやにじみ、ぼやけた感じの映像など細部のエフェクトが良くできており、まるで昔のビデオテープを見ているかのような錯覚に陥らせてくれます(映像ソフトでエフェクトかけただけだろ、と言われればそうですが)。
・昔のビデオテープを見ているかのようなPV
本作は日本でも翻訳版がPS4/Vitaへ配信予定。先に発売された海外では平均レビュースコア80点前後と高得点を獲得しているようで、日本での発売が気になるソフトの一つです。