【なるマニ】海外でウケている日本製・奇妙ゲー。人気「奇ゲー」15本
世の中にひっそりと存在するモノやサービスなど、紹介していくコーナー「なるほどマニアックス!(なるマニ)」。
今回は、現在海外でジワジワと話題となっている日本製の奇妙なゲーム、「奇ゲー」の紹介です。
過去の「なるマニ」
・YouTube動画版
・奇ゲーがなぜ海外でウケるのか、その理由
日本を代表する文化「TVゲーム」。
1985年に発売された任天堂のファミコンから、最近ではソニーPlayStation 4まで、とにかく世界中に多大なる影響を及ぼしたのはよく知られるところ。
そして最近、海外では日本製の奇妙なゲーム、いわゆる「奇ゲー」に注目が集まっているという。
それは例えばYouTubeで「Japan weird video games(日本 変な ビデオゲーム)」あたりのキーワードで検索すると、腐るほど紹介動画が見つかる点からも良く分かる。
人気のポイントは、次のような点にあるようだ。
①:発想が斬新で、オリジナリティーに満ちている
②:キリスト教の影響が強く、性道徳への禁欲的な面が強い西洋諸国には無い、明るい感じのセクシー描写が多々ある(要するにエロい)
③:”きゃりーぱみゅぱみゅ”に代表されるような、日本の「KAWAii(かわいい)文化」が現在、世界的に注目される中で、その文化をカンタンに味わうことが出来る
などなど。
以下はそんな海外でウケている日本製「奇ゲー」、15本の紹介です。
・奇ゲーの紹介
1.シーマン:ドリームキャストほか(1999)
水槽に潜む奇妙な生き物、“シーマン”を育てていくゲーム。
シーマンはヒトの言葉を理解し会話することができ、プレイヤーはマイクデバイスを通じて、この不思議な生物とコミュニケーションを取っていく。
シーマンはプレイヤーとのコミュニケーションを知識として蓄わえ、その内容次第で常に会話は変化する。くわえて見た目も魚だけでなくさまざまに変わっていき、ゲームは奇想天外な展開を見せていく。
発売元セガの巧みな広告戦略も手伝い、第1作目のドリームキャスト(DC)版発売においては日本中でブームがおこり、DCで最も売れたソフトとなった。
2.蚊:プレイステーション2(2001)
「奇ゲーのSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)」を代表する1本。開発はPS初期の名作格闘ゲーム『ZERO DIVIDE』のZOOM。
このゲームではプレイヤーは蚊となって、人間にその存在がバレて叩き潰されないよう、うまく血を吸っていくことが求められる。
ゲーム内容の斬新さに加え、入浴中の女子高生の血を吸うステージなど、ちょっぴりセクシーな表現があることも、性にキビシイ海外でウケているらしい。
ソニーのゲーム部門であるSCEにおいては、SCEの創業スタッフがレコード部門のソニーミュージック出身者が多く、そのため創業当初は斬新なアイデアが好まれる風土があった。
またゲーム業界参入が後発であるために、任天堂のゲーム機で発売されるような既存ゲームとの差別化を図る必要があったのか、とにかく、SCEのゲームはそれまでにはなかった奇抜なタイプのものが多かった。
本作もそのようなソフトの1つ。
3.とんでもクライシス!:プレイステーション(1999)
一見ごくごく普通の家族に襲い掛かる、さまざまなアクシデント。
それらを切り抜け、無事わが家に帰宅するのが目的のミニゲーム集。
アクシデントは暴走する通勤電車で爆弾を解体したり、銀行強盗犯に連れ去られそうになったり、果てはUFOに連れ去られそうになったりと、破天荒でトンデモないものばかり。
4.ROOMMANIA#203:ドリームキャストほか(2001)
プレイヤーはとあるアパートに居つく神様。アパートの一室に住む大学生、ネジタイヘイの生活を観察しつつ、彼の生活に介入してその平凡な日常をドラマテックなものへと変化させてあげることがゲームの目的。
開発したのがセガのゲームサウンド部門(サウンドマスター)なだけあって、テレビ内の番組など、細部にわたって”生活空間の音”が作りこまれている。
5.ブーンガ・ブーンガ:アーケード(2001)
小学生がやる遊びの一種としてある、お尻を突くイタズラ「カンチョー」。あれがついにゲームになったのがコレ。
プレイヤーは用意されたプラステック製の指を用いて「元彼女」「元彼氏」「金目当ての女」「女たらし」「小児性愛者」など、計8つのお尻の中からどれかを選択してターゲットにする。
実のところ、このゲームは日本でリリースはされてはいるが、開発したのは韓国のメーカーであり日本製ゲームではない。
だが多数の海外ゲームサイトやYouTube上では、”日本製ゲーム”として紹介されている…。
6.LSD:プレイステーション(1998)
奇ゲー好きの間では、よく知られた作品。
開発スタッフの1人の夢の内容を元に制作したという本作。
なるほどそれも納得で、特に内容といった内容もこれといってなく、サイケデリックで抽象的な空間をあてもなく散策していく。
1998年とプレイステーション中期の発売だが、PS発売当初よくリリースされていた「マルチメディアゲーム」の雰囲気に満ち満ちている。
ゲームプロデュースは「奇ゲー界3大マエストロ」(と当方が勝手に命名)の一人である、デザイナーの佐藤 理氏。
7.せがれいじり:プレイステーション(1999)
奇ゲーといえば、エニックス(現:スクウェア・エニックス)の存在を忘れてはいけない。
もともと会社黎明期において『TOKYOナンパストリート』『ロリータシンドローム』などベンチャーらしいゲリラ的な作品を発売していた同社であったが、特に奇ゲーメーカーとして花開いたのは世紀の変わり目、PlayStation時代でのこと。
当時エニックスは「ドラクエだけじゃないもん!」と、ドラクエ(だけ)のイメージからの脱却を目指していたらしく、そのためか『プラネットライカ』『鈴木爆発』『お見合いコマンドー 』『スーパーギャルデリックアワー』など、それまでの優等生イメージを覆すような大量の奇ゲーを発売することとなる。
その様子は夏休み後に茶髪・コンタクトになって現れる同級生女子を見るような感覚であった。
本作もそんなエニックス・大量奇ゲー群の1本。
このゲームにおいてプレイヤーは、主人公であるせがれをいじり(操作)、3D空間(セケン)を探索する。そしてセケンには様々なアイテムが置かれ、それらに触れると一転してシュールな言葉遊びをする作文モードがスタートする。作文終了後はセカイにアイテムが生まれ、ゲームに新たな展開を迎えることになる。
わけがわからない…。
8.サムライ ゾンビ ネーション:NES(1990)
本作の日本版タイトルは『暴れん坊天狗』であり、このタイトル名はカルトゲー愛好者の間ではよく知られている。
日本版では天狗の面だった自機が、海外版移植に当たって落ち武者に変更された。
滅亡の危機に瀕したアメリカを救うため、落ち武者の生首がアメリカを破壊しまくるという、ネタ感満載のシュ―ティングゲーム。
なおNESとはNintendo Entertainment Systemの略で、海外版ファミコンのこと。
9.東脳:Machintoshほか(1994)
先ほど紹介した『LSD』をプロデュースしたマルチメディアアーティスト、佐藤 理氏による作品。
加えて発売は奇ゲーばっか出しているソニー・ミュージック・エンタテインメント(SME)ということで、やはり当然のようにサイケデリックで摩訶不思議な奇ゲーに。
画像にある緑色の顔は島(!?)であり、この島を舞台に主人公・リンが使命を果たしていくというストーリー。
ゲームジャンルは画面をクリックすることで展開していくという、当時流行した『MYST』のようなクリック型アドベンチャーゲームもの。
10.風水先生:セガサターン(1996)
20年ほど前、中国の地相占術である「風水」が作家・荒俣宏氏の紹介により日本中で大流行したことがあった。
このソフトは、そのブームに天下の博報堂が乗っかかろうとした結果出来上がった怪作であり、ゲーム内容は見習いの風水師となって3Dの街並みを歩き回って建物の運気を上げていくというものだが、正直ゲーム性はほとんど皆無に近い。
博報堂出資のためか、監修に風水ブームの立役者である荒俣宏、シナリオ・伊藤ガビン、サウンド・戸田誠司とスタッフがムダに豪華。
また伊藤ガビン氏は本作のみならず、プレイステーションの音楽ゲーム『パラッパラッパー』や『ウンジャマラミー』、そしてこれまた奇ゲーとして知られるゲームキューブ『動物番長』 (販売:任天堂) の開発にも携わっている。
11.リアルサウンド~風のリグレット~:セガサターンほか(1997)
ゲームプレイ中に映像が一切表示されないことで、97年発売当時に話題になったアドベンチャーゲーム。
初恋の記憶を巡るピュアなラブストーリーが、音声のみで展開されていく。
すなわち基本はラジオドラマと同じものであるが、ところどころサウンドノベルのように選択肢があり、またエンディングも複数用意されている。
開発は当時メディアに盛んに露出しブイブイ言わせていた故・飯野賢治氏率いるワープ。
声の出演に菅野美穂、柏原崇、篠原涼子、音楽が鈴木慶一、脚本は坂本裕二の各氏と、豪華メンバーがそろっている。
12.ガボール スクリーン:プレイステーション(1996)
1996年発売。当時、時代の寵児であった小室哲哉大先生をフィーチャーした結果、なぜかLSDと並び称される奇ゲーが生み出されてしまった。
プレイヤーはスニーカー(!?)となって、環境映像ともサイケデリック空間ともいえる謎めいた場所を散策し、小室氏提供の音源を集め、曲を完成させていく。
曲が完成するとその曲のPVを鑑賞することが出来るが、さすがに天下の小室先生の音源だけあって参加アーティストが豪華豪華。TMNに宇都宮隆ソロ、知念里奈、果ては今や大女優の仲間由紀恵や篠原涼子までいる。
そしてやはりというか販売は奇ゲー界の雄、ソニー・ミュージックエンタテインメント(正確にはその傘下のアンティノスレコード)。
13.くまうた:プレイステーション2(2004)
早すぎたボカロソフト。プレイヤーは”師匠”として「くま」に演歌を教えていく。
「作成した曲を合成音声を用いたキャラクター(くま)が歌う」というそのコンセプトは、数年後に大ブームとなった後の初音ミクシリーズのそれとまったく同じ。
本作はセールス的にはあまりはかばかしくなかったようだが、それは時代を先取りしすぎていたためともいえる。
開発はAIロボットを育てていく育成シミュレーションゲーム『がんばれ森川君2号』や26世紀の宇宙を舞台に野菜の育成・交配、害獣退治に取り組む『アストロノーカ』など独創的な作風で知られるムームー。
販売はソニー・コンピュータエンタテインメント。
14.お遍路さん:ゲームキューブ(2003)
「四国八十八カ所巡礼の旅、”お遍路”をリアルに体験できる」ことが触れ込みのソフト。
ソフトと専用歩数計とフットコントローラーのセットで、なんと計18,800円(税抜き)もする。
プレーヤーはフットペダル・コントローラ「牡丹さん」で足踏みをすることで歩数がカウント、それにより実写画像が変わり巡礼しているような気分を味わえる。
当時はDSでの実用ソフトブームもなく、加えてゲーム内容も「四国巡礼をリアルに体験と言われても…」ということで、発表当時こそ話題になったものの全く売れず、ソフト発売元のピンチェンジは本作発売後から2年後には清算されてしまった。
なお、似たようなコンセプト、かつ実用面においてもゲーム性においても巧みに昇華されているWii用ソフト『Wii Fit』が爆発的に売れるのは2007年の話。
本作はまさに、『早すぎた「Wii Fit」』と言えなくもない。
15.NOëL NOT DiGITAL:プレイステーション(1996)
90年代半ば、コナミの『ときめきメモリアル』の大ヒットで雨後のタケノコのごとく大量にリリースされることとなった、「恋愛シミュレーションゲーム」の類。
その中でもひときわ異彩を放っていたのがコレ。
あまりの珍しさゆえか、NHKの朝ニュース番組『おはよう日本』の最先端モノ紹介コーナー、「ビジネストレンド」でも取り上げられていた。
舞台はネットワークが整備されTV電話が普及した近未来。プレイヤーは知り合った3人の女の子と、TV電話を通して交流を深めるのが目的。
近未来のデバイスを使用していると思わせるUI、リアルタイムに時間が流れ、画面下に流れてくる”話題”をタイミングよく女の子に振らないと電話を切られてしまう現実にも似たシビアなシステム、マッドハウス制作のフルボイスアニメーションで絶えず生き生きと動くキャラクターなど、プレイしているとあたかも本当に画面上に人が実在し、その人と会話しているような気分になってくる。
これを超えるシステムは、現在でもそうそうないのでは…。