「9.7型 iPad (2017)」と「10.5型 iPad Pro」、より安定して性能を発揮するのはどちらか統計分析する
・iPad Pro 10.5(2017)
「9.7インチ iPad 2017年モデル」と「10.5インチ iPad Pro 2017年モデル」。
どちらもユーザー評価ないしレビュー評価の高い、優れたタブレットですが、実際の使用において、どちらがより安定した動作を示してくれるのでしょうか。
そのことを検証するために、今回、ベンチマークソフト GeekBench 4 のベンチマークスコアから「安定度(変動係数)」を求めました。ベンチマークスコアの標準偏差(ばらつきを示す「分散」の2分の1乗)をスコアの平均値で割ることで、この安定度(変動係数)を求めることができます。
- 「安定度(変動係数)」=標準偏差 (「分散」の2分の1乗)÷ 平均値
この変動係数の値を比べることで、平均値が異なるベンチマークスコアのような値においても、相対的にスコアのバラつきを比較することが可能です。
そしてバラつきが小さい端末は、「より性能が安定している」と解釈することができます。
平均値 | 標準偏差 | 変動係数 | |
iPad Pro 10.5 | 9162.000 | 621.376 | 0.0678 |
iPad 9.7型(2017) | 4432.200 | 16.185 | 0.0037 |
※求めたスコアは「GeekBench4 マルチコアスコア」。サンプルサイズ(データの個数)は10
上記結果から、平均スコアに対して「iPad Pro 10.5」の方が相対的にばらつきが大きく、それゆえiPad 9.7型 (2017) のほうが安定した性能を示していることが分かります。
・「性能が優れているのはiPad Pro」と言えるか
さて上の結果からわかるとおり、GeekBench4 の平均スコアが勝っていたのは「iPad Pro 10.5」のほうでした。
とはいえ、この結果は「iPad Pro 10.5のが性能が勝っている」ことを意味するでしょうか?
どういうことかと言いますと、iPad Proのベンチマーク計測において「たまたまスコアが高い(低い)ものが続いだけの”まぐれ当たり”」ということがあり得るからです。
そのため2機種の平均値そのものに統計的有意差がある、すなわち性能に差があることを調べるため、統計検定の一種である t検定 を行ないました。
結果、有意水準1%において統計的有意差がありました(有意差がある)。
よって「iPad Pro 10.5の方が、ピーク性能が優れている」と言え、結局「iPad Proのほうが9.7インチiPad(2018)より性能が優れている 」と言えることができます。
次回は「9.7インチ iPad 2018年モデル」を対象にしたいと思います。