2018、高級コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)比較
このページの目的:
最近登場するようになった、大型センサーとF値の小さいレンズを搭載する4~9万円台と少しお高めのコンパクトデジタルカメラ。
カンタンに明るくボケ感のある写真が撮れる、これらカメラを比較しています。
1.高級コンパクトデジタルカメラのメリット
①:大きなセンサーサイズにより、美しい画像が撮影できる
・高級コンパクトデジタルカメラは、なぜ”高級”なのか
➾高級コンデジは、センサーサイズが大きいため美しい写真が撮れる
そもそもなぜ高級コンデジは”高級”なのでしょうか。その答えはセンサーサイズにあります。具体的に見ていくと、一般的にカメラの画質の優劣は
①:レンズ
②:センサーの大きさ(大きいほうがキレイに撮れる)
③:画像エンジン
の3つによって決まるものとされています。
通常、一眼レフカメラではセンサーサイズがマイクロフォーサーズ(4/3)サイズ以上の大きさであるのに対して、通常のコンパクトデジタルカメラではスマートフォンと同じ1/2.3サイズである機種も多く、どうしても画質面で劣るのは否めません。
・センサーサイズの一覧表(大きいほど画質が美しい)
フルサイズ:36×24mm
APS-C:23.6×15.8mm
マイクロフォーサーズ:17.3×13mm
1型(今回紹介する高級コンデジのセンサーサイズ):13.2×8.8mm
1/2.3(スマホや普通のコンデジで一般的なサイズ):6.2×4.65mm
今回紹介する高級コンデジのセンサーサイズはおおむね1型。スマートフォンのカメラや一般的なコンパクトデジタルカメラのセンサーサイズより大きく、そのため美しい写真が撮影できるようになっています。
②:F値が小さいため、初心者でも簡単に明るくボケ味のある写真が撮れる
また高級コンデジはF値が小さい機種が用意されており、カメラ初心者でも簡単に明るくボケ味のある雰囲気の良い写真を撮ることができます。
・F値とボケ味の関係
以下の画像例では、F値(絞り値)が小さいほど(=F2やF2.8など)ボケ感のある写真が撮れているのが分かります。
出典:ソニー公式ホームページ
以上から高級コンパクトデジタルカメラでは、初心者でも簡単に一眼カメラに迫る美しい写真が撮れるものとなっています。
2.最近のカメラのトレンド
①:自撮りがしやすい回転型・チルト型液晶画面を搭載
最近あちこちで人気の「自撮り(セルフィー撮り)」。自撮りの人気を受けて、メーカーも適した機種を開発しています。
例えば、液晶が撮影対象の側に向く「チルト液晶」や「バリアングル」を搭載する機種が発売されています。
・画面が上に向くチルト液晶
・画面が横に向くバリアングル液晶
今回紹介する高級コンパクトデジタルカメラは、どれも液晶画面が上に向く「チルト液晶」を採用しています。
②:美肌モードを搭載
自分撮りに適した、明るくなめらかな肌質を可能にする「美肌モード」やスリムな印象を与える「スリムモード」も搭載される機種が増えています。
③:タッチオートフォーカス
画面の箇所をタッチすればそこにオートフォーカス(AF)を合わせてくれるのが「タッチオートフォーカス機能」。ピント合わせが簡単になります。
大抵のメーカーの機種はこの機能を搭載しますが、ソニーのカメラはビデオカメラとの差別化のためか、この機能がありません。
3.高級コンデジ、価格帯別機種紹介
それでは、以下においては代表的な機種をご紹介。
【4万円台】
・パナソニック:DMC-LX100
価格:4万7000円から
画素数:1280万画素
センサーサイズ:4/3型と同等MOSセンサー
光学ズーム:3.1倍
F値:F1.7~F2.8
撮影感度:ISO125~25600
焦点距離:24mm~75mm
ファインダー:電子式
USB充電:×
自分撮り機能:×
チルト液晶:×
美肌モード:×
タッチパネル:×
オートフォーカス:不明
連写:11コマ/秒、最大12コマ
手振れ補正機能:なし
4K動画撮影:〇
動画撮影時ビットレート:最大28Mbps
撮影可能枚数:350枚(モニター時)/320枚(LVF時)
サイズ幅x高さx奥行き:105.5x60x42 mm
重さ:本体280g/総重量:310g
【ポイント】
動画撮影性能を求めるならこれ。日頃から筆者も愛用しています。
センサーサイズが4/3型(マイクロフォーサーズ)と、今回紹介する機種ではトップレベルに大きく、そのため特に動画撮影においてキレイに撮ることが可能。
また操作系が各種ダイヤル式によるものとなっており、今どきのタッチパネルを多用する機種よりなれれば操作しやすいものとなっています。
【ここが〇】
- 4万円台からの安さ。2014年発売なので値段がこなれてきている。
- センサーサイズが大きく、そのため動画では他機種を上回るキレイさ。4K動画撮影も可能。
ほかの高級コンデジのセンサー(1型)よりはるかに大きい、4/3(Micro Four-Thirds)センサーを搭載。
- 写真も他機種と同じくキレイに撮れる。
- 数多くのダイヤルにより、操作がしやすい。
昔のアナログカメラのように、ダイヤルが数多く搭載されています。そのためタッチパネルを用いて操作する一般的なデジカメとは一味違った、レトロな操作系が特徴。ダイヤルが多い分、操作もしやすいです。
【ここが×】
- 液晶はチルト式ではなく、固定式。自撮りには不向き
【5万円台】
・キヤノン:PowerShot G7 X Mark II
価格:5万8000円から
画素数:2010万画素
画像エンジン:DiGIC 7
センサーサイズ:1型
光学ズーム:4.2 倍
F値:F1.8~F2.8
撮影感度:ISO125~12800
焦点距離:24mm~100mm
ファインダー:なし
USB充電:〇
自分撮り機能:〇
チルト液晶:〇
美肌モード:〇
タッチパネル:〇
オートフォーカス:31点AF
連写:約6.5枚/秒
手振れ補正機能:なし
4K動画撮影:×
動画撮影時ビットレート:最大35Mbps
オートフォーカス速度:0.12秒
撮影可能枚数:265枚(モニター時)/355枚(エコモード時)
サイズ幅x高さx奥行き:101.6×58.1×41 mm
重さ:本体294g/総重量:319g
【ポイント】
ソニーと似たような性能で、かつ安い機種を求めるならこれ。ソニーのライバル機種で、全体的に似たスペックとなっており使いやすいものとなっています。
またズーム性能も光学4.2倍ズームレンズと優れ、タッチパネルも搭載して、5万円台とソニー機種より低価格。ただしファインダーはありません。
全体的な色合いとしては、ソニーの機種に比べ、より鮮やかさが強調されたものとなります。
・G7X Markで実際に撮影した写真(掲載のために画質を落としています)
【ここが〇】
- ソニー製のカメラより安い
- 高額ズーム4.2倍と、他社製品を上回る
- タッチパネル搭載で、簡単な操作性
画面をタッチすれば、オートフォーカスがすぐ調整できる。そのまますぐに撮影もできます。
- 上側180度、下側45度も可動するティルト液晶
液晶画面の角度が調節できるので、多彩なアングルからの撮影が楽しめます。
- 色鮮やかな写りになる
InstagramなどSNS受けがよくなりやすそうな、赤や緑、黄色の3原色が強調された画づくりになります。
- 高速、オートフォーカス速度0.12秒
【ここが×】
- ファインダーがないため、日中の屋外撮影は少し不向き
- ビデオ動画画質は平凡
【6万円台】
・ソニー:RX100M3
価格:6万5000円
画素数:2010万画素
センサーサイズ:1型
光学ズーム:2.9倍
F値:F1.8~F2.8
撮影感度:ISO125~12800
焦点距離:24mm~70mm
ファインダー:EVF(電子式ビューファインダー)
USB充電:〇
自分撮り機能:〇
チルト液晶:〇
美肌モード:〇
タッチパネル:×
オートフォーカス:25点
連写:速度優先連続撮影時: 最高約10コマ/秒、連続撮影時: 最高約2.9コマ/秒 (AF-S時)
手振れ補正機能:あり(使用感としては、あまり強くない)
4K動画撮影:×
動画撮影時ビットレート:最大50Mbps
オートフォーカス速度:ー
撮影可能枚数:320枚(モニター使用時)/230枚(ファインダー使用時)
サイズ幅x高さx奥行き:101.6×58.1×41 mm
重さ:本体263g/総重量:290g
【ポイント】
1.0型裏面照射型Exmor R CMOSセンサーにより、簡単にきれいな写真が撮れます。筆者も日ごろから使用しているRX100M3。コンパクトなサイズに大型センサーを搭載し、簡単に美しい写真が撮れるすごいカメラ。
加えて明るいF値1.8、ビューファインダーも搭載。
一方で、タッチパネル操作機能はついていません。
・ここが〇×
【ここが〇】
- 1.0型裏面照射型Exmor R CMOSセンサーにより、カンタンにボケ味ある美しい写真が撮れる
- 電子式ビューファインダーにより、屋外などまぶしい場所でも写真が撮りやすい
- 光学2.9倍ズームが可能な「ツァイス バリオ・ゾナーT レンズ」。広角24mmから中望遠70mmまでをカバー
- NDフィルターを内蔵し、流れる滝なども簡単に撮影可能
- 約5cmまで近づいて撮影できるマクロ撮影
- さまざまな撮影を可能とするカメラアプリに対応
・ソニーのカメラアプリ
【ここが×】
- タッチパネル機能がない
- 動画撮影時における、手振れ補正機能はあまり優秀ではない
- そもそも、動画撮影性能がLX100などに比べると劣る
- 美肌モードは動画撮影時は効かない(かつて動画撮影時に勝手に美肌モードになるバグがあったが、最近は修正。逆に今度は美肌モードが効かないようになった)
・パナソニック:DMC-LX9
価格:6万8000円から
画素数:2010万画素
センサーサイズ:1型
光学ズーム:3倍
F値:F1.4~F2.8
撮影感度:ISO125~12800
焦点距離:24mm~72mm
ファインダー:なし
USB充電:〇
自分撮り機能:〇
チルト液晶:〇
美肌モード:〇
タッチパネル:〇
オートフォーカス:49点
連写:電子シャッター時 最大約50コマ/秒、メカシャッター時 最大約10コマ/秒(AFS時)
手振れ補正機能:あり
4K動画撮影:〇
動画撮影時ビットレート:最大28bps
オートフォーカス速度:ー
撮影可能枚数:CIPA規格 約260枚
サイズ幅x高さx奥行き:105.5x60x42 mm
重さ:本体280g/総重量:310g
【ポイント】
F値1.4と他社製品を上回る非常に明るいレンズで、ボケ感ある撮影が可能。4K動画撮影にも対応し、7万円ほどの価格とお値打ち感あり。一方ファインダーは搭載せず。
【ここが〇】
- F値1.4の明るいレンズ
人物を際立たせたポートレートや花や静物のクローズアップといったシーンで、前後のボケが味わい深いクリエイティブな写真づくりが楽しめます
- 大型1.0型、2010万画素高感度MOSセンサー。ボケ感ある撮影が可能
・一般的なコンパクトデジカメのセンサーとの大きさの違い
- W端時3cmのマクロ撮影
被写体にしっかり近づいての撮影が可能。細かな装飾や植物などのディテールまでしっかり撮影可。
【ここが×】
- ファインダーがない
【7万円台】
・富士フィルム:X70
価格:7万8000円から
画素数:1670万画素
センサーサイズ:APS-C
他社カメラが採用する1型センサーを上回る「APS-C」センサーを採用
光学ズーム:なし
F値:F2.8
撮影感度:ISO200~6400
焦点距離:28mm
ファインダー:なし
USB充電:〇
自分撮り機能:〇
チルト液晶:〇
美肌モード:〇
タッチパネル:〇
サイズ幅x高さx奥行き:112.5×64.4×44.4 mm
重さ:本体302g/総重量:340g
【ポイント】
APS-Cセンサーを採用し、とにかく美しい撮影が可能。価格コムアワード2016 コンパクトデジタルカメラ部門金賞受賞。
X100Fの入門機向け機種となっており、性能を抑えてある価格が安く、タッチパネル操作にも対応している。
X100F同様、ズーム機能はない。
【ここが〇】
- 他社製カメラが採用するセンサーより大きいAPS-Cセンサーを採用し、美しい撮影が可能
- オートフォーカスが早い
- タッチパネル操作にも対応
- 液晶が回転し、自撮りにも便利
【ここが×】
- ズーム機能がない
【9万円台】
・ソニー:RX100M5
価格:9万0000円から
画素数:2010万画素
センサーサイズ:1型
光学ズーム:2.9倍
F値:F1.8~F2.8
撮影感度:ISO125~12800
焦点距離:24mm~70mm
ファインダー:EVF(電子式ビューファインダー235.92万ドット)
USB充電:〇
自分撮り機能:〇
チルト液晶:〇
美肌モード:〇
タッチパネル:×
サイズ幅x高さx奥行き:101.6×58.1×41 mm
重さ:本体272g/総重量:299g
【ポイント】
筆者も使うカメラその2。2016年に登場した、RX100シリーズの最新モデルがこれです。
5世代目となり、コンパクトデジカメでは世界最多となる315点の像面位相差検出AFセンサーを配置。さらには0.05秒高速オートフォーカスにも対応しました。
くわえてファインダーも搭載しており、屋外でも撮影が行いやすい。ただしタッチパネル操作は非搭載となっています。
【ここが〇】
- カンタンにボケ味ある美しい写真が撮れる
- 電子式ビューファインダーにより、屋外などまぶしい場所でも写真が撮りやすい
- 動画撮影時、手振れ補正機能が優秀
- RX100M3より、オートフォーカス性能が優れている
- RX100M3より、対応カメラアプリが増えた
【ここが×】
- タッチパネル機能がない
- 美肌モードは動画撮影時は効かない(かつて動画撮影時に勝手に美肌モードになるバグがあったが、最近は修正。逆に今度は美肌モードが効かないようになった)
- ビデオ動画画質は平凡
・RX100M5で実際に撮影した写真(画質を落としています)
・RX100M5で撮影した4K動画
【12万円台】
・富士フィルム:X100F
価格:12万5000円から
画素数:2430万画素
センサーサイズ:APS-C
他社カメラが採用する1型センサーを上回る「APS-C」センサーを採用
光学ズーム:なし
F値:F2
撮影感度:ISO200~12800
焦点距離:35mm
ファインダー:あり光学式/電子式
USB充電:〇
自分撮り機能:×
チルト液晶:×
美肌モード:〇
タッチパネル:〇
サイズ幅x高さx奥行き:126.5×74.8×52.4 mm
重さ:本体419g/総重量:469g
【ポイント】
APS-Cセンサーを採用し、とにかく美しい撮影が可能な機種。
【ここが〇】
- 他社製カメラが採用するセンサーより大きいAPS-Cセンサーを採用し、美しい撮影が可能
- 光学・電子式ファインダーを両搭載
- 富士フィルム製品らしいフィルムシミュレーター機能
- オートフォーカスが早い
【ここが×】
- 高い。12万円もする
- ズーム機能がない
- 4K撮影はできない
- タッチパネルがない
- 液晶は回転しない
- 本体419gと、コンデジとしては少し重い
参考文献
ソニー公式ホームページ
パナソニック公式ホームページ
キヤノン公式ホームページ