「iPhoneやiPadの使用中にマルチタスク画面を表示して使用していないアプリを消す」、これはiPhoneを使う上での”バッテリー節約術”として多くのユーザーに知られた感がありますが、これはあまり意味のないことだったことがAppleの公式説明から明らかになりました。
マルチタスク履歴でアプリを消去してもバッテリーの持ちやメモリには影響しない
これはテックサイト9to5MacがAppleのCEO、ティム・クック氏宛てでメールで質問したところ、iOSの総合責任者でソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏から解答があったとのことです。
それによると、「iOSでは、その時に使用中のアプリやバックグラウンドで動作している音楽、GPS以外はメモリ・バッテリーなど全く使われない仕組みとなっている。そのためマルチタスク画面はただの”履歴表示”で、使っていないアプリをマルチタスクから選び消去しても意味がない」との回答があったそうです。
すなわち、①:現在使用中のアプリ、②:GPS、③:バックグラウンドで流れている音楽アプリ以外は使ってないのだからマルチタスク画面から消去してもバッテリーやメモリ解放にはつながらない、ということですね。
実際はiOSの性質を悪用したアプリもあるので、マルチタスク履歴でのアプリ消去は有効
考えるに、iPhoneやiPadは性能が進化してきたとはいえ、まだまだPCに比べると性能が劣るのも否めません。また本体のサイズもスマホだから詰めるバッテリー容量も限られています。それらを考慮してiOSでは同時に起動できるアプリの数が限られている、だからマルチタスクから消去しても意味がない、ということなんだと思います。
ただ、確かにアップル副社長によるこの説明はその通りなんですけど、実際は例外もあります。
例えばこの「通常のアプリはバックグラウンドで起動できないが、音楽アプリならバックグラウンドでも実行できる」というiOSの性質を悪用して、音楽アプリに”擬態”し、使用していないときでも常時起動させていたFacebook公式アプリみたいな悪例が実際にはあるわけです。
※Facebookアプリでは、アプリが使用中でないときは”無音”の音を流して音楽アプリと化し、常時起動させていた。「現在は修正済み」と公式上は発表。
この場合では、常時起動させていればアプリの起動時間が早くなるなど効果があるため、それを狙ったんでしょう。似たような「怪しい」アプリの報告例はたくさん報告されています。最近では、別の某SNSアプリも同様に「怪しい」と海外ユーザーの間で話題になっているんだとか。
ですから今回の話は結局のところ、「マルチタスクからのアプリ消去は、理屈上は意味ない行為だけど、実際は効果あるよ」といったところに話が落ち着くのが無難でしょう。
[9to5mac]