インドで70歳の女性が高齢出産。アメリカでは50歳以上の出産が年間600件に
インドの女性が世界最高齢で出産したとして、ギネス記録を更新しました。
インドに住むダルジンダー・カウアーさん70歳は今年4月18日、夫モヒンダーシング・ギルさん79歳との間、第一子となる男の子を出産。50年近く待ち望んだ末の超高齢出産でした。
「2年間の体外受精治療で3回目にして漸く、我が子を授かることができ、こうやって我が子を抱くことが出来て感激している」とカウアーさん。
赤ちゃんはアーマン(ヒンドゥー語で希望という意味)と名付けられ、すくすく元気に育っています。
インドでは、多くの人びとが出生証明書をもっておらず、正確な年齢を把握するのが難しいのが現状です。カウアーさんは、自身の年齢を70歳と言ってますが、治療を受けたハリャナ州の不妊治療センターは彼女の年齢を72歳と推定しました。
また2006年には、ラジョ・デヴィさんというインド人女性が、同クリニックで不妊治療の末、70歳で女の子を出産しており、カウアーさんが72歳だということになれば、彼女が世界最高齢で出産をしたことになります。
カウアー氏が不妊治療センターのアヌラグ・ビシュノイ医師を初めて訪れたのが、2013年。彼女はすぐに治療をスタートしたものの、最初の試みは失敗に終わりました。そして6ヶ月後に再度挑戦しましたが、これも失敗。今回3回目の試みでようやく成功することができました。
一方で医師や不妊治療専門家たちの間からは、カウアーさんのような高齢の女性に体外受精の治療を行うことについて危惧する声も上がっています。
例えば生命倫理学者で医師でもあるルース・ファーレル氏もその一人。ファーレル氏は取材に対し、以下の通りに答えています。
「70代で出産をする女性とその危険性を関連付けた正式な臨床データはないが、今後考えなければならない問題だ。出産年齢が上がると、それに伴い、高血圧や血糖値などの合併症を引き起こすリスクがある。そして、それは母親だけでなく、子供自身にも、子癇症や臓器の機能障害というリスクを負う可能性がある。」
「医者として、まず一番に考えることは母子の安全です。母子ともに負うことになるそのリスクとその利益の両方の可能性についても考えなければならない。さらには、出産だけでなく、もし高齢の両親が病気になったら誰が子供の世話をするのか。彼らの両親が亡くなったら誰が子どもの成長を見届けるのかなど、課題は山積している」
高齢化社会が到来している現在、全世界的に高齢での出産がトレンドとなっており、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の発表では2015年、50歳以上の出産が600件にも達しました。またドイツでは昨年、65歳の女性が出産をしています。