ますます広がり続ける格差と金持ちが富を独占するロシア・インド・タイ
イギリス・インディペンデント誌が、世界各国の格差(その国において上位1%の富裕層が占める富の割合)をレポートしています。
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世界各国の経済格差の実態が明らかになる1つのチャート:インディペンデント
- INDEPENDENT ”All the world’s most unequal countries revealed in one chart ”
2008年の世界金融危機からの経済回復は、未だ社会のあらゆる面において未達成であり、各国における国内経済格差も拡大し続けています。
世界大規模の証券・投資銀行業務を展開するクレディ・スイスの調査レポート「グローバル・ウェルス・レポート2016」では、ロシアが世界で最も貧富の差が大きい国だと位置づけており、現在ロシア国内の総資産のうち74.5%は1%の超富裕層によって保持・管理されている現状があります。続いて2位以下は、インド、タイ、インドネシア、ブラジル…となっており、どの国もロシア同様に、国内1%の超富裕層が占める資産の割合が、国内総資産の約50~60%と非常に高い水準となっていることがわかりました。
世界的な風潮として、「2008年の世界金融危機を機に、1世紀にわたって続いていた経済格差の広がりは終わりを告げ、そのトレンドは改善傾向にある」と言われています。しかし、実際のところ各国では経済格差の縮小傾向を示す明確なデータは存在せず、さらなる貧富格差が広がっているのが現実です。
イングランド銀行総裁であるマーク・カーニー氏は、「世界各国の経済格差による富の不均衡は、ほぼ全ての国で起こっている重要な問題である」と指摘した上で、中央銀行はこの問題を軽視し対策を行っていないと発言。加えてカーニー氏は人口に占める世界総資産の保有率についても言及し、世界総資産の半分は1%の超富裕層が、残りの資産のうち89%を10%の富裕層が保有していることが推測されると述べました。世界総資産の大半は、人口の約11%にあたる超富裕層と富裕層によって保持されているのです。
クレディ・スイスは、昨年前述の調査レポートを報告して以来、国民一人当たりの資産保有の値が高く、世界で最も豊かな国はスイスだとしています。その上でアメリカと日本を、世界で最も経済収入と世帯ごとの資産保有額が安定している国であると評価しています。
ただ一方でイギリスについては、それらとは対極で、厳しい評価をつけました。すなわちBrexitの投票とその後のポンド価値の下落によって、イギリス国民は厳しい経済情勢に置かれていると説明しています。EU離脱の決定によって、イギリスの総富裕層が被った経済損失額は約1兆5000億ポンドであると見積られており、超富裕層と富裕層の数は406,000人減少したとされています。それに対して、スイスにおける富裕層人口は58,000人減少となりました。