【書評要約】『港区ではベンツがカローラの6倍売れている―データで語る格差社会』。5点
書評コーナーは毎週土曜日に掲載しています(非掲載の場合あり)
・本の全体像
扶桑社から発刊されている本書。タイトルからしてなんとなくわかるように、同社の雑誌「Spa」の特集コーナーにそのまま載っていそうな、俗っぽいトピックについて取材なり統計データに基づき示されているのがその中身。
雑誌のように気軽に読み進める、忙しい人にはうれしいモノとなっています。
・目次
第1章 ベンツ格差
第2章 豪邸格差
第3章 クルーザーとスーパーカー
第4章 別荘格差
第5章 カード格差
第6章 外国人格差
第7章 フーゾク嬢格差
第8章 生活保護格差
・具体的な内容
・車でみる東京都内格差
千代田区・港区・渋谷区・中央区・目黒区でベンツ保有台数が多い。一方、荒川区、江東区、北区では少ない。
港区では20人に1台がベンツ。一方荒川区では100人に1台。港区では、カローラよりベンツ・BMW・アウディなどのほうが売れている。ほかポルシェやマセラッティ、ベントレーといった高級車でも同様の統計傾向が示される。
・軽自動車でみる全国の違い
高知、島根、鳥取、宮崎、鹿児島、佐賀、愛媛など、南方地域、中国・四国・九州で軽自動車保率が高い(40%後半~50%)
一方東京、神奈川、千葉、大阪など首都圏・大都市圏では軽自動車保率が低い。また事故が起きやすい北海道も、耐久性が低い軽自動車の保有率は低い。
・在日外国人の住まいと違い
東京都港区:
外国人率は8%超。白人が多い。ルックスを生かしてモデル業をしているものが多い。「白人であるというだけでこの国(日本)では異様にモテルよ」とインタビューされた白人談。
群馬県大泉町:
日系ブラジル人が多い。町民4万2075人に対し外国人率は6780人、占有率16.1%。世帯数では1万7350戸に対し、同3422世帯。現在経済が好調なブラジルだが、いまだ平均世帯年収は月1000ドルと日本より劣り、そのため、いまでも日本に来る日系ブラジル人は多い。
大泉町ではブラジル人向けスーパーのほか、ブラジルへ送るための安い家電が置かれた店がある。
・風俗嬢の格差
吉原のソープ嬢はMAX月収600万円
地方のピンサロ嬢はMAX月収60万円
「風俗嬢は収入はともかく、自分に対する自己評価が限りなく低い」と、何人かのインタビューをした筆者の談。
・生活保護受給率
生活保護の受給率が高いのは福岡、北海道、青森、沖縄、東京、大阪など。
都市別では1位:大阪市 4.02% 2位:函館市 3.81% 3位:旭川市:3.19%。
尚あいりん地区(大阪府西成区)では、保護率は16.7%に及ぶ。
・あいりん地区(西成区)の場所・スポットなど
あいりん労働福祉センター・・・日雇い労働者が仕事を求めて多く集まる。
新今宮駅・・・最寄りの駅。
簡易宿泊所・・・1泊1000円から。最近外国人向けバックパッカーのために施設に業態替えをする宿が増えつつある。これは山谷も同じ。
激安ホテル・・・「生活保護者優遇」の看板もチラホラみられる。
テーマパーク「フェスティバルワールド」、スーパー銭湯「スパワールド」・・・自治体が外国人を呼び寄せるために開設したが、まったく人気がない。
あいりんでの取材の秘訣:ワンカップ酒やたばこ、あるいは現ナマを提供すれば円滑な取材ができる。
・生活保護率の低い都道府県
富山:0.18%、岐阜:0.20%、福井:0.26%(編注:一般的に主観幸福度の高い「北陸」の県)。
そのほか愛知、長野、石川、新潟など
・感想、そのほか補足情報など
長野での生活保護率が低いというのはそこそこ意外。良く知られたところですが、長野県は戦前は日本でもトップレベルに貧困にあえぐ地域であったし、太平洋戦争時は貧困に関連してのさまざまな悲劇が知られている地域ですし。諸事情で受給しにくいだけなのかもしませんが…。
また生活保護受給率の高い都道府県は、①:収入の少ない地方部 ②:財源が豊かで受けやすい大都市部といった感じにパターンが分かれるようです。
・おすすめ度合い
5/10点