iPhone 10周年を示すデータ・グラフ10枚
2007年1月11日、故スティーブ・ジョブズは、その登場によりアップルだけでなく世界を変えることになる製品を発表しました。その製品「iPhone」は、これまでの物理ボタンに占められていた携帯電話に代わり、静電性タッチパネルによるわかりやすい操作と大画面、モバイルデバイスでのインターネット接続を示し、新たなコンピュータ世界の到来を予見させてくれました。
iPhoneを示したジョブズのMacworldプレゼンテーションは、すでに「伝説」のプレゼンして人々の間に記憶されています。
そして初代iPhoneが実際に発売された2007年6月から10年、この10年でモバイル機器を取り巻く環境は大きく変わりました。次に示す10枚のグラフは、iPhone 10歳の誕生日を祝うものとなっています。
1.iPhoneシリーズの販売量の推移。2016年は初めて前年比マイナス
・iPhone シリーズの販売量
出典:Statista
発売以来、驚くべきセールスを示してきたiPhoneシリーズ。
ただ昨年は、アップルがiPhoneを発売して以来、初めて販売量が前年比で減少した年でした。この点に関し投資家の反応はささやかなものであったものの、アップルを取り巻く環境は確実に変化しているようです。
2.iPhoneの総販売量。この10年で12億台に迫る
・iPhone シリーズの総販売量の推移
出典:Statista
2007年に初代iPhoneが発売されて以来、2016年夏には総販売台数10億台に達したiPhone。アップルではこのメモリアルを記念し、社員パーティーが開催されました。その後iPhoneの総売り上げ販売台数は、2017年3月には11億6000万台に達しています。
3.iPhone発売後、アップルの株価は8倍になった
・アップルの株価の変化
出典:ycharts.com
11年前、2006年には60ドルほどだったアップルの株価。その後、iPhoneの発売後にぐんぐん上昇した株価は、今では11年前に比べ800%(8倍)上昇しています。
4.ここ10年で、スマートフォンユーザーは全世界25億人までに膨れ上がった
・スマートフォンユーザーの変化
出典:Slideshare
iPhone発売前では、スマートフォンは企業向けまたはハイエンドを求める一部パワーユーザーのぜいたく品でした。 iPhoneはスマートフォンを親しみやすいものするのに貢献し、結果、2015年には全世界でスマートフォンユーザー数は25億人にまで成長しています。
5.フォーチュン全米TOP500、iPhoneだけで12位になる
・アップルのiPhone事業の収益の変化
iPhone事業は巨大なものであり、それだけで全米有数の企業の位置に収まります。アップルのiPhone事業は2015年に1500億ドル(約16.8兆円)を得た収益事業となり、これは経済紙フォーチュン定める全米のトップ企業500社「Fortune 500」において12位にランクされます。
iPhone事業はその事業初年度は6億ドル(約700億円)の収益を得ていました。そこから250倍にまで収益は成長しています。
6.iPhoneはアップルの収益の60%以上を占める
・iPhoneがアップルの収益に占める率の年次変化
iPhoneはアップルの最も重要な製品であり、同社の売上の60%以上を占めています。この割合はまた、ここ数年で急激に上昇しており、iPhone事業の初年度は、iPhoneは収益の8%を占めるにすぎませんでした。
7.スマートフォン産業の利益の90%をアップルが占める
・スマホ産業に対しての、各メーカー別シェア
出典:Statista
調査会社のStrategy Analyticsは、2015年にスマートフォン業界全体で50億ドルの営業利益を計上したと見積もっています。このうち、アップルは全利益の92%を占め、他社を圧倒していました。
アップルの強みとして、大量生産によるスケールメリットの活用・経済的エコシステムの構築らがあげられるとStrategy Analyticsは見ています。
上のグラフを見ると2015年ではアップルとサムスンだけで100%を超えていますが、これは多くの企業においてスマートフォン事業が赤字であり、プラスどころかマイナス分となっているためです。
8.iPhoneの販売価格は依然として高い
・iPhoneの本体平均価格
ユーザーからの高い人気を反映しての優れた価格設定能力がアップルの妙技であり、同社はベンダー(小売業者)に対し、同社製スマートフォンの販売価格を下げないように日々圧力をかけていることで知られています。
そのためiPhoneの平均販売価格(ASP)は弾力性があり、激しい価格競争の中においてさえ、悪化する兆候はありません。これが上記のアップルの高い利益率を支えています。
同社はまた、低価格用スマートフォンのメーカー間アライアンスに加入していない唯一の企業でもあります。
9.高止まりするiPhone価格と、下落傾向にあるAndroidスマートフォンの本体価格とGoogleの笑顔
・iPhone(青)とAndroid(オレンジ)の本体平均価格
Androidスマートフォンでは急速なコモディティ化から価格競争が激しくなり、Androidスマートフォン本体価格が下落傾向にあり、利益が低落傾向にあります。一方で、iPhone本体の価格は高止まりしたままにあります。
とはいえAndroidの本体価格の下落はマイナス面ばかりではなく、このことからAndroidの本体販売数は急増傾向にあります。Androidは現在全世界において、iOSを抑えナンバーワンに位置するモバイルOSプラットフォームとなっており、これはAndroidスマートフォンメーカーが低収益に苦しむ一方で、OSの親元であるGoogleの高収益を支えています。
10.増加するiOSアプリへの支払い
iPhoneの台頭に伴い、App Storeは爆発的な勢いで成長し、とりわけアプリ開発者の収益はここ数年で爆発的に増加しています。
アップルは17年9月、2016年はアプリ開発者に対し計200億ドル(約2.2兆円)を支払ったと発表しました。現在、利用可能なアプリは220万アプリを超えています。