総務省、「通信料金と端末代金の完全分離・4年縛りの抜本的見直し」を提言
菅義偉官房長官の「4割程度下げる余地がある」との発言をきっかけとして、現在、携帯料金の引き下げが政府で議論されています。
総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会(モバイル研究会)」及び「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの検証に関するWG(消費者WG)」では、今年10月以降、それぞれ3回にわたりヒアリングを行い、検討を実施中。
そして今回の第4回会議においては、「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言(案)」が提示、具体的には「シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現」「販売代理店の業務の適正性の確保」を求めていくこととなりました。
・シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現
現状の携帯電話料金プランの中には、利用者が正確に理解することが困難なものや利用者を過度に拘束するようなものなどが出てきており、その結果として、利用者の適切かつ自由な選択が阻害され、事業者間の公正な競争が不当に制限されているという問題が指摘されています。
今回の会議においては、この問題を解消していくにあたり、「通信料金と端末代金の完全分離」「行き過ぎた期間拘束の禁止」「合理性を欠く料金プランの廃止」「4年縛りの抜本的見直し」といった提言が示されました。
・販売代理店の業務の適正性の確保
2015年の改正電気通信事業法においては、契約書面交付義務、事業者による代理店に対する指導等の措置義務、初期契約解除制度、勧誘に当たっての不実告知等や勧誘継続行為の禁止等の規律が設けられました。
この改正による消費者保護ルールの導入以降、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)及び総務省に寄せられた電気通信サービスに関する苦情相談件数は低下しており、消費者保護ルールの導入について一定の効果が見られるものの、依然として高い水準にあるのは否めません。
独立行政法人国民生活センターの分析によれば、携帯電話やFTTHサービスに関する苦情相談件数は、それぞれ2万件超(携帯電話)、1万件超(FTTH)といった高い水準で推移。
その苦情の多くが不適切な勧誘、説明に起因しており、打開策として会議では「行政が直接把握するための必要最小限の制度としての届出制の導入」「不適切な勧誘行為の禁止」が提案されました。
ほかの海外諸国とは異なり、大手通信キャリア主導の護送船団的サービス提供が特徴である日本の携帯電話業かい。今回の総務省提言は、現行サービスのあり方を大きく変えうるものとなっており、今後、その動向が注目されます。
情報元:総務省