先に結論
①:性能を測るベンチマークスコアは各スマホによって、スコアのバラつきに差が出る⇒バラつきの差を統計分析すればそのスマホの隠れた性能がわかるのでは?
②:スコアにバラつきがないスマホほど、安定して性能が発揮できる、CPUの発熱の影響を受けにくい優秀なスマホといえる。
③分析の結果、全体的にiPhoneシリーズはスコアにバラつきがなく優秀、XperiaはZ1とZ3 Compactはバラつきがなく優秀といえた。気になるXperia Z5は発熱云々で騒がれたXperia Z4と同レベルで微妙な結果に。Xperia Z5とZ5 CompactではZ5 Compactのほうが良い結果が出た。ただし、Z5シリーズに関しては、今後のファームウェアアップデートで改善されるものと思われる。
スマホによって、結構違うベンチスコアのバラつき
最近、Xperia Z5やiPhone 6sなどスマートフォンのベンチマークスコアを集めた「2015秋冬スマホ22機種ベンチマーク性能比較!」という記事を書いています(現在も更新中)が、データを集めていく中で、ある機種はスコアにバラつきがあったり、一方ある機種はあまりバラつきがなかったりと、機種によって出てくるスコアデータに特徴があることに気が付きました。
考えてみれば、ベンチマークテストの結果って最高スコアや平均スコアの高さも大事ですけど、それ以上に大事なのは「いかにスコアにぶれがないか」いうことですよね。
仮にあるスマホがAntutuベンチマークで平均60,000スコアだとしても、それが10万スコアと2万スコアの平均だとしたらあまり意味がなく、そのようなスマホは実使用上でもかなり使いにくいでしょう。
すなわち「ベンチマークスコアにブレがないスマホ=安定して性能を発揮出来るスマートフォン」ということが言えます。加えて最近はSnapdragon 810の発熱問題によるパフォーマンス低下などがいろいろと騒がれていますが、ここでも「ベンチマークスコアにブレが小さければ、そのスマホは発熱にも強く安定して性能を発揮できるスマホ」ということになります。
統計分析から、安定して性能を発揮しているスマホを見つけよう!
そこで思いついたのが今回のページ。今回は数あるベンチマークソフトの中でも高負荷をかけるテストで知られる「Geekbench3」を用いてスコアを調べました。
まずはGeekbench3の公式データベース上からベンチマークスコアを各機種ごとに50データを採取。その上で、統計学の知見を用いてデータをゴニョゴニョすると「50データのブレ(変動係数)」がわかります。ここではわかりやすく「安定スコア」とでも名付けることにしました。
安定スコアはその数値が低ければ低いほどデータにブレがない、すなわちスマホの性能が安定していることを示します。そうして出来たのが次のもの。
(選んだモデルはBCN社のスマートフォン売り上げランキング上位の端末を中心に選出)
・Geekbench 3シングルコアのデータの安定スコア(数値が低いほど性能が安定していることを示す)
安定スコア | 参考:シングル平均スコア | |
arrows NX f-04G | 3.62 | 699 |
iPhone 6 Plus | 6.87 | 1579 |
iPhone 6 | 7.57 | 1589 |
Xperia Z3 Compact | 7.59 | 923 |
iPhone 6s | 8.27 | 2492 |
ファーウェイ P8 lite | 10.82 | 587 |
iPhone 6s Plus | 11.55 | 2439 |
Xperia Z4 | 15.81 | 1011 |
XperiaZ5 Compact | 16.18 | 1235 |
Nexus 6P | 20.07 | 1094 |
Xperia Z5 | 20.24 | 1136 |
Nexus 5X | 22.65 | 1052 |
・Geekbench 3マルチコアのデータの安定スコア(数値が低いほど性能が安定していることを示す)
安定スコア | 参考:マルチ平均スコア | |
ファーウェイ P8 lite | 6.09 | 2627 |
iPhone 6 Plus | 7.79 | 2825 |
iPhone 6 | 8.06 | 2840 |
iPhone 6s | 8.89 | 4342 |
Xperia Z3 Compact | 8.93 | 2684 |
iPhone 6s Plus | 12.97 | 4222 |
XperiaZ5 Compact | 14.5 | 3718 |
Xperia Z4 | 14.98 | 3454 |
Nexus 5X | 16.84 | 3112 |
Xperia Z5 | 16.87 | 3693 |
Nexus 6P | 18.67 | 3869 |
arrows NX f-04G | 19.87 | 3048 |
・グラフ:シングルコアの安定スコア(数値が低いほど性能が安定していることを示す)
・グラフ:マルチコアの安定スコア(数値が低いほど性能が安定していることを示す)
まとめ:やっぱりiPhoneはすごかった。XperiaはZ3 Compactの優秀さが光る。
統計分析の結果、シングルコアで最も性能が安定していたのは富士通の「arrows NX f-04G」、マルチコアで最も性能が安定していたのはファーウェイの「P8 lite」でした。
CPUにSnapdragon 810を搭載するarrowsがシングルコアでナンバ―ワンだったことには一瞬びっくりしますが、一方マルチコアではワーストワンになっているので「やっぱりな」といった感はあります。arrowsはマルチコアを用いるゲームや4K撮影は避けて、電話・メール、Webブラウジングなどでの使用に限れば良いスマホなのかもしれません。
ほかのSnapdragon810搭載機ではXperia Z4もやはりというかデータのブレ幅が大きく、スナドラ810のオーバーヒート云々の影響を感じさせます。
全体的に性能が安定していた(スコアのブレが小さかった)のがiPhoneシリーズ。Androidの端末群より頭一つ抜けています。これはiPhoneの優秀性もさることながら、Androidはカスタマイズが様々に出来てしまう分、スコア測定環境の差が大きいことが仇となっているのかもしれません。
気になるXperiaの最新Z5シリーズですが、データが出ているZ5、Z5 Compact両方ともにそれほどスコアは良くなく、Xperia Z4と同等レベルとなっています。Z5シリーズでは特にCompactのほうがスコアが良く、なるほどZ5にオーバーヒートの話は聞いたことがあったけど、Z5ではあまりそのような話も聞いたことがないのも納得できますね。
ただ、基本的に発売されたばかりAndroid端末は性能が安定していないことが多く、Xperia Z5に関しても今後のファームウェアアップデートで改善されることが期待されます。
XperiaシリーズではZ3 Compactの優秀性が飛び抜けており、なるほどユーザーからの評価が高い理由の一端を垣間見たような気がしました。また、ここの表には出していませんがXperia Z1もiPhone 6並みにスコアが安定していました。