東芝がソニーにイメージセンサー部門を譲渡
先日一部マスコミにより報道された東芝のCMOSイメージセンサー部門のソニーへの譲渡の件ですが、昨日正式に発表されました。これにより、東芝の大分工場の300mmウェーハ生産ラインの製造関連施設、設備及びその他関連資産がソニーに譲渡されるようです。
スマートフォンから防犯カメラ、果ては最近話題の自動運転車まで幅広い用途に用いられるイメージセンサーカメラにおいて、2015年第2四半期現在でソニーは世界シェアの4割強を獲得しています(下図)が、同社はここ最近、立て続けに同部品技術の買収を行っています。
10月上旬にはベルギーのソフトキネティックシステムズ社を買収しました。
同社は「ToF方式」と呼ばれる、出された光が対象物に反射し、センサーに届くまでの光の遅れ時間を検出することで対象物までの距離をつかむことが出来る画像センサーの技術で知られています。この画像センサーでまず思い出すのがジェスチャーインターフェイスでしょう。
これはマイクロソフトのゲーム機Xbox 360/ONEの周辺機器「Kinect」でおなじみとなった感がありますが、ユーザーの空間上の身振り・手振りなどのアクションをデバイス側が認識して入力操作に用いるといった使い方をするものです。
とはいえ、将来的なジェスチャーマッピングはゲームなどの利用にとどまるものではなく、例えば下のソフトキネティクスによる動画にもあるように、距離を測定することで玄関前に立っていることを認識、画像認識と組み合わせて家主とわかると自動で開くドア、眼鏡に付属したカメラセンサーを通して眼鏡が調理法を教えてくれるなど、様々な用途が考えられるようです。
スマートフォンでの活用では、料理中など手が使えない状態での使用が想定できるとのこと。
なお、KinectといえばXbox360用Kinectの開発に携わったソフトキネティックシステムズのライバル企業、PrimeSenseはすでに2013年にアップルに買収されています。
デュアルカメラ×ToF=グーグルのProject Tango
さて、ソフトキネテックシステムズの買収にに加えての今回の東芝のセンサー部門の譲渡。東芝といえばデュアルカメラ技術で優位性を持ちますが、さっきのToFとの組み合わせでまず思いだすのが、グーグルの開発者向けスマートフォン「Project Tango」。
下の映像ではProject Tangoの複数カメラとToFを組み合わせて、カメラで周りを映し出すと自動にスマホ内に3Dマップが作られていく様子が確認できます。これはいわば一人グーグルマップ。
これの何がすごいかといえば、3Dデータとして処理しているため、ナビゲーションなどのVR情報を映像に表示できる点にあります。
例えば買い物の場合、まずはスーパーに入るとカメラが自動で店内のどこに何があるのかをスキャン。その後デバイス上でほしいものがどこにあるのかを案内してくれます。
デュアルカメラ単体でもこれまでのカメラと異なり、距離画像を付加することで撮影した後での焦点やボカシの位置を変えられるとかなり画期的なことが出来るようですが、果たしてこれら企業の買収でソニーXperiaのカメラはどうなっていくのでしょうか。今後に期待大ですね。