2016年からスマホは性能重視から使いやすさ重視に。サムスンの例
これまでひたすら高性能化を追ってきたスマートフォン界隈ですが、2016年からはその方向が変わるかもしれません。
韓国の大手新聞「韓国日報」の英語版「The Korea Times」がいくつかの記事で伝えるところによると、2016年発売のGalaxy S7において発売元サムスンは、性能の追及以上に「ユーザーの使いやすさ」を重視していくようです。
確かに漏れてくるGalaxy S7シリーズのリーク情報をうかがうに、S7ではSDカードスロットの復活、防水・防塵機能搭載、バッテリー容量の増加と、デザインの美しさのために各種ユーザーエクスペリエンスを犠牲にしたGalaxy S6とはガラリと方向性が違うことが分かります。
加えてGalaxyシリーズそのものの製品展開も、これまでの高価格「Galaxy S」シリーズを中心にしたものから、中価格帯「Galaxy A」および低価格帯「Galaxy J」シリーズを中心にしたものにと変更されるとのこと。
Korea Timesの記事によれば、これら変化の背景には、スマホ性能がすでに一定程度の水準に達してしまったことで高機能スマホに対す需要が低下していることがある様子。
なるほど最近では、これまでのiPhoneとの違いが見えないことからiPhone 6sが想定を下回る売れ行きであることが伝えられたり、または低価格を売りにした格安SIMサービスとSIMフリースマホが人気を集めていることからもわかる通り、もはやユーザーのトレンド傾向がこれまでの高性能一辺倒よりはむしろ、バッテリーの持ちや価格など実際の使いやすさやコスト面を重視するようになってきているフシが見られます。
これは調査会社「MMD研究所」によるスマホユーザー意識調査をみても実感できます。同社のユーザー調査によれば、ユーザーがスマホに対して求めていることはダントツトップで「長持ちするバッテリー」。このバッテリーへの不満は回答として73%を占め、「高性能」「防水性」「頑丈さ」といったほかの項目の2倍近い回答率でした。
Xperia Z6やZ7のバッテリー持ちは改善される?
さてXperia Z5で残念だったことの一つとして、「バッテリーの持ちがこれまでのXperiaより良くない」ということがありました。
(例:テックサイトGSMArena調査による実使用時間でXperia Z3は85時間。Z5は73時間)
とはいえ実際のところ、バッテリーの各実使用時間・ベンチマークを見ればわかりますが、基本的にはXperiaの新シリーズになるにつれ、バッテリーの持ちは基本的には良くなっているようです。Z5はあれでしたが。
加えてソニーが最近開発を進めるポストLiイオン電池の存在も見逃せません。
これはバッテリーの体積当たりのエネルギー密度を現行の700Wh/Lから、2020年までにに1000Wh/Lへと性能アップを目指すというもの。開発者インタビューなどを読む限りでは、この性能向上は「バッテリー性能を毎年8パーセントずつ上げていく」というモノであり、そのため、Xperia Z6、もしくはそれ以後のZ7やZ8でもバッテリー性能向上の恩恵を受けることが期待されます。
まとめ
というわけで以上4つ、すなわち
①サムスンの動向
②ユーザーの長持ちバッテリーへの高い需要
③(基本的には)年々伸びるXperiaシリーズの実使用時間
④ソニーが開発する次世代イオン電池
の点からXperia Z6/Z7ではバッテリー性能の向上が期待できるのではないでしょうか。さてさて、発表が楽しみですね。
参考文献
The Korea Times “Samsung will cut smartphone shipments” 2015-12-22
The Korea Times “New Galaxy to get ‘little overhaul” 2015-12-01
The Korea Times “Galaxy S7 to focus on performance over design: sources” 2015-12-17
MMD研究所「スマートフォン端末の不満度上位は「バッテリー」「防水機能」「頑丈さ」」2015年10月29日