ロシアにおけるクレジットカードのシェアとJCBカード
ロシアのウクライナ侵攻に関連し、VISAとマスターカード、両社のクレジットカードが同国内で使えなくなるそうです。
米クレジットカード大手のビザとマスターカードは5日、ロシアでのカード決済業務を停止すると発表した。数日以内にロシアで発行された両社のクレジットカードは世界中で使えなくなり、ロシア以外で発行されたカードもロシアで使用できなくなる。
毎日新聞「VISAとマスター、ロシアでのカード決済停止 経済制裁対象以外も」、2022年3月6日
ロシアでは、大手2社のクレジットカードでシェア7割を超える
例えば2019年、ロシア国内における各クレジットカードのシェアは次の通りとなっています。
【ロシアにおける各クレジットカードのシェア】
・マスターカード:39%
・VISA:33%
・MIR(ミール):24%
・Golden Crown(ゴールデンクラウン):3%
・その他:1%
(データ元)
世界シェアでは2位のマスターカードがロシアでは1位。僅差で世界シェアナンバーワンのVISAが続く形。この2社でシェア7割を超えるものとなっています。
急速に普及が進むMIRカード
また3位の「MIR(ミール)」とは聞きなれない名前ですが、これはロシア中央銀行による決済システム。
2014年のクリミア混乱を巡り、VISAとマスターカードがロシアでの使用を停止。それを重く見たロシア政府が立ち上げたカードですが、設立から5年でロシア国内で急速に普及していることが伺えます。
なお、ネットでは「ロシアではJCBのシェアが高い」なんて声も聴きますが、実際はそうではないようです。
ただそもそも、ロシアではクレジットカードの利用率が高くありません。国際決済銀行(B
IS)が四半期ごとにまとめている「BIS統計」によれば、同国におけるクレジットカードんの決済比率は2.9%(2014年)にとどまります。
【クレジットカード利用率の高い国、低い国(決済に占めるクレジットカードの割合)】
韓国:69.6%
カナダ:37.3%
オーストラリア:30.3%
日本:15.6%
イタリア:5.4%
ロシア:2.9%