サルでもわかるピケティ入門①:r>gってなに?

トマ・ピケティ氏による経済学の本『21世紀の資本』がブームですね。人も殺せそうな分厚さと重さ、加えて約6000円という高価な値段なのに、オカタイ学術本とは思えない驚異的な売れ行きを見せています(現在13万部とのこと)。

さて、そんな現在話題沸騰中の『21世紀の資本』もしくはそれにした関連した話題について、これから数回に分けて書いていこうかと思います。

「サルでもわかるピケティ入門」のタイトル通り、他の解説書・解説ページでは見落としそうな基本的なところから始めて、図表も織り交ぜわかりやすい記述を心掛けていきます。

第1回目のテーマは「①:r>gってなに?」です。

 ①:r>gってなに?

ピケティは世界各国の200年以上にわたる税務局の統計データを調べ、資本収益率r経済成長率gよりも高いことを示しました。そこから導かれた結論が、有名な式「r>g」です。

資本・経済成長って、ナンダ?

そもそも資本とはなにか?経済成長ってなにか?ということです。順に解説していきましょう。

まず資本ですが『21世紀の資本』の中においてこれは、土地、建物、住居などの物理資本株式、債券、特許などの金融資本がそれに当たります。

一方の経済成長率ですが、これは一定期間GDPがどれくらい増えたかを示す指標です。また、GDPとは一定期間に生み出された付加価値の合計ですが、その付加価値を生み出すのは働く人々の労働ですよね。ですからGDPの労働への対価、すなわち賃金が多くを占めます。

まとめてみよう

すなわちr>gとは次のことを指しています。
rgの式の意味
ここで注意点があります。先ほども説明したとおり、ピケティにおける「資産」とは「所有できて何らかの市場で取引できるものの総和」として定義されています。そのため、労働力、知識、技能、訓練など人間が持つ能力を資本とみなす人的資本は含まれていません。また物理資本(土地や建物などの実物資産)が資本として入っているため、ピケティが想定する「資本収益率」は、(通常「資本」と聞いて我々が想定する)株式や債券といった証券による利益よりずっと範囲が広いことも併せて注意が必要です。

・これらの点は、現在ピケティに寄せられるいくつかの批判の内の一つに対する「フラグ」となっています。

ピケティにおける資本の定義

r>g」の意味するところ

さてピケティがデータを収集してわかったことは、どの時代においても資本収益率r経済成長率gを上回る、ということでした(下の図1)。図1を見てもわかるとおり、資本収益率rが時代による変化はあまりなく4-5%を推移する一方で、経済成長率gは時代による変化が激しく、20世紀には4%近かったその数字も2100年ごろには1.5%(推定)ほどになると見られています。

資本収益率と経済成長率の比較

これは何を意味するのでしょうか。例えば資本収益率が5%、経済成長率が1%だとした場合、株式投資のほうが労働所得より5倍利益を得ることが出来るということになります。

ただ、株式投資というのは大きな値上がりを期待できる反面、値下がりする可能性も高いという一種の「賭け」であり、そして「賭け」に参加するということは、そのブレの大きさを受け入れたということになります。ですから必ずしも株式で得られる利益が常に労働所得を上回っているとは限りません(身の回りを見てもわかると思いますが、株で常に成功するわけないですよね)。

したがって、r>gをより正確に表現するならば、「賭け(投資)における利益の期待値」と「確実に得られる益」の差が労働所得を上回っている、ということになります。

今回は以上で終わりです。次回のテーマは「②:格差拡大のメカニズム」です。

・用いた図表の引用元

『21世紀の資本』の翻訳を行なった経済評論家、山形浩生氏のホームページ内「ピケティ『21世紀の資本』図表」ページ:

http://cruel.org/books/capital21c/figurestables.html

連載:サルでもわかるピケティ入門

①:r>gってなに?←今回

②:格差拡大のメカニズム

③:機械が仕事を奪う(未掲載)

④:再分配はなぜ必要なのか(未掲載)

⑤:ピケティに寄せられた批判(未掲載)

⑥:タイトル未定(未掲載)

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