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現代アメリカ刑務所での通貨:「ラーメン」。殺人まで生じるラーメン人気と背景の暗い現実

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ラーメン本位制。ラーメンが通貨となった米国刑務所世界

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現在、アメリカの刑務所ではラーメンがあたかも通貨のようにふるまい、時にはラーメンのために囚人間で殺人事件が起こっていることをイギリスの高級紙「ガーディアン」が報じています。

・Ramen is displacing tobacco as most popular US prison currency, study finds

これはアリゾナ州立大学で社会学博士課程に通学するマイケル・ギブソン‐ライト氏がレポートしたもの。彼は1年以上にわたり、ある州の刑務所で60名近くの受刑者にインタビューを行ないました。

ライト氏によれば、59セントのラーメンは、それより高い価値のアイテムと交換が可能であるとのこと。例えばラーメン2パックで10.81ドルのスウェットシャツを購入することができ、2.00ドルで取引される巻きタバコ5本はラーメン1パックで購入することが出来ます。

他にもラーメン1パックで1週間受刑者のベッドを清掃を頼めたり、洗濯やギャンブルに利用されることもあります。

時にはラーメンの負債による返済問題によって、争いや最悪の事態が起きることも。「私はラーメンによる争いを多数見てきました。人々はスープよって殺されるのです。」インタビューsされたある受刑者はこう述べています。

「何につけても、刑務所内では金がすべて。そしてここではスープは金なんだ、悲しいことが本当のことなんだ」とは別の囚人ロジャースのコメント。

ラーメンが広まった理由とその背景

それにしてもなぜラーメンなのでしょう。ライト氏は背景に「刑務所内のコスト削減によって食事の質と量が低下していることがある」としています。

「ラーメンは入手が容易であり、高カロリーな食品です。

囚人たちの多くは作業労働や運動など体を動かすことに1日の大半の時間を費やしますが、刑務所での予算カットによりそのためのエネルギーが十分足りていないという事実が、ラーメンが広まっていく要因となったのでしょう」

アメリカという国は、国家にその思想を弾圧され迫害された宗教者達によって建国された国なので、基本的にアメリカ人は基本的に国家を信用していません。そしてそれが転じて公共インフラなど民間資本からは提供されにくいものが非常に脆弱な国となっています

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フィラデルフィアにある、木で作られた水道管(photo credit:New York Times)

ですが刑務所はその例外で、特に70年代のニクソン、80年代の大統領レーガンと2人の共和党大統領が国民からの人気獲得のため、自らをヒーローに仕立て上げるため「法と秩序」の名の下、どれほど些細な犯罪でも罪を犯した者は片っ端からロウヤにぶち込めるようにしました。

その結果、現在なんと世界の囚人の5人に1人はアメリカの刑務所にいます。

さすがにこの囚人の多さは財政を圧迫し、2000年代からは転じて極端な予算カットが行われるようになりました。温かい食事は冷たいものへと変わり、さらに食事の提供回数も減らされるようになっていました。

「満腹感を味わう為、1日の食事をまとめて1度に摂るようにしている」とは“DS”なる受刑者の弁。

予算カットはもちろん、食事の回数だけでなく品質の低下も招いています。

ある刑務官はライト氏に、「配給される食事は質の低下したものが殆どなので食べてはいけない」と警告しました。またある刑務官は所内調理場を巡回していたところ、“不衛生チキン”“人間の食用に適さない”と表記された箱を見つけたとインタビューで答えています。

複数の受刑者達はライト氏のインタビューに対し「1日を過ごすにはカロリーが足りていない為、ラーメンによるエネルギー不足の解消が最適な方法だ」と話しています。

これまで刑務所内での闇取引の人気商品といえばタバコや酒などの嗜好品でしたが、現在では食品など生活必需品へと移行しているそうです。

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