Q:なぜ日本以外の各国は、まともな奨学金があるのか?➾A:経済成長になるから。教育は投資

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なぜ世界各国には、大学奨学金があるのか。その一側面への回答

以前紹介した「日本以外の国には、まとまな奨学金制度が存在している(日本の”奨学金”の実態は学生ローン)」「日本以外の国は大学の学費が安い」なるグラフですが、あれをご覧になった方の中には、次のような疑問を抱かれた方もいるのではないでしょうか。すなわち、

  • なぜ日本以外の国は、まとまな教育環境があるのか。奨学金が整っているのか

ということです。

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関連ページ:

日本の大学学費の高さ、奨学金制度の弱さがわかるOECDのデータ5つ。学費無償化を留保しているのは、日本とマダガスカルだけ
追記とお詫び: その後よくよく調べたところ、日本は2012年に無償化条約を留保解除していました。ですのでタイトルの「日本とマダガスカル...

上記ページより再掲:日本の大学学費の高さ、奨学金の脆弱さを示すグラフ

(縦軸は大学の年間学費、横軸が公的奨学金/ローンを受けている大学生の割合)

図1.世界各国における大学学費の高さと奨学金の関係

BdRS-uaCUAAl2sk

上の図から 図から次のことがわかります。

グループ①:大学の授業料が高いが、奨学金が充実しているグループ

・・・アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど

グループ②:授業料が高く、奨学金も充実していないグループ

・・・日本

グループ③:授業料が安く、奨学金が充実していないグループ

・・・大陸ヨーロッパ⇒スペイン、イタリア、スイス、フランス、ベルギー、ほかメキシコなど

グループ④:授業料が安く、奨学金も充実しているグループ

・・・北欧⇒ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンなど

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・教育投資が経済成長を生む

さて一般的に教育環境が整備されている国と言えば、フィンランドやスウェーデンなど北欧の国々が思い浮かびます。

しかし、前回紹介したグラフやその周辺のグラフをつぶさに観察すると、こと大学教育・高校教育においては、教育環境がズタボロなためそれを茶化したような高校化学教員が麻薬製造に手を染めることになるドラマ(『ブレイキング・バッド』)が作られるような国・アメリカや、発展途上国であるチリやメキシコといった国まで、日本よりは格段に環境が整備されているのがわかります。

それならば一体、なぜ日本以外の国では大学教育が整備され、奨学金が充実しているのでしょうか?

答えはカンタン。ザックリというならば

「教育投資が経済成長を生むから

です。

例えば社会科学において「内生的経済成長理論」というものが存在しますが、これなどは「高い教育を受ける人(大学教育を受ける人)が多ければ多いほど、技術革新を生みやすく経済成長を促す」ことを示しています。

モチロン実証的なサポートのない理論に意味はないものですから、実証研究を見てみても、やはり内生的経済成長理論をサポートしていることがわかります。

具体的に見てみますと、戦後日本の経済成長においてどの要因の役割が大きかったのかを研究したMiyazawa[2011]からは、教育・教育投資の貢献度の高さが分かります。

さらに言えば時代が下り、人口増が見込めなくなった現代の低成長時代においては、ますます教育の貢献度と存在感が高まっていることがわかります。

表1.要因ごとに見る日本の経済成長率

Ψ=0.58

GNP 生産性 物的資本 教育投資 労働投入量
1956~73年 9.3 3.3 3.1 2 0.9
1973年~90年 3.8 0.7 1.9 0.8 0.5
1990年~2003年 1.3 0.4 0.9 0.5 -0.5

※労働投入量は就業者数と労働時間の合算

図2.要因ごとに見る日本の経済成長率

表2.要因ごとに見る日本の経済成長率

Ψ=0.28

GNP 生産性 物的資本 教育投資 労働投入量
1956~73年 9.3 3.8 3.1 2 0.9
1973年~90年 3.8 0.4 1.9 0.8 0.7
1990年~2003年 1.3 0.1 0.9 0.5 0.1

※労働投入量は就業者数と労働時間の合算

参考文献

Kensuke Miyazawa ”Measuring HumanCapital in Japan” RIETI Discussion Paper Series 11-E-037. March 2011

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