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アメリカ全土やラストベルト地域での製造業の苦境が分かる13のデータ
ポピュリズムの権化たるような人物が当選してしまった2016年アメリカ大統領選挙ですが、トランプ氏が当選した背景に五大湖周辺のラストベルトなど、製造業の雇用喪失に苦しむ地域の住民からの支持があったことはメディアによる報道される通り。
一体今、アメリカの製造業に何が起こっているのでしょうか。データをいくつか探ると、その実態が朧気ながら見えてきます。
①:中国が2001年にWTOに加盟し自由経済市場に本格的に参入したことで、アメリカでは320万人が職を失った。このうち4分の3、240万人が製造業
・色の濃いところほど、中国のWTO加盟によりアメリカで職が失われた地域
ただ、貿易にはプラスの面(市民が安くて高性能・高品質な商品を手に入れられる、そもそも経済成長やイノベーションの原動力になる、など)もあるし、そもそも根本的な話として、貿易が職を失うのかについては専門家の間でも意見が分かれており(下記②参照)難しいところ
情報元:epi.org
②:NAFTA締結で失われた雇用は2%、締結による雇用増を合わせれば、全体ではむしろ雇用が増加した
NAFTAはアメリカ合衆国、カナダ、メキシコの北アメリカにおいて3か国による貿易圏を生み出した自由貿易協定。
情報元:cbo.gov
③:中国がWTOに加盟した2001年以降、中国からのアメリカへの輸出は急増⇑し、アメリカの製造業労働者は急減⇓した
・青線が中国からのアメリカの輸入に占める比率、赤破線がアメリカ人口に占める製造業従事者
④:五大湖周辺の「ラストベルト」は特に中国との自由貿易により職が失われた地域。アメリカでは中国との貿易により2010年だけで50万人が職を失った
・色が濃い地域ほど中国との貿易で職が失われた州
五大湖周辺のラストベルトは特に色が濃い地域の一つとなっている
情報元:Economic Policy Institute [PDF]
⑤:パソコンでおなじみのDELL社は、今後10年間で、1,000億ドル(約10兆円)以上を投資し、中国事業を劇的に拡大する計画を発表している
情報元: WSJ
⑥:アメリカでは2001年以来、およそ4万2400の工場が操業停止となった
これらの工場の75%が500人以上を雇用していた。
・アトランタの閉鎖された工場
⑦:2015年には、世界中で13億本の携帯電話が販売された。一方、ここ近年アメリカ国内で製造されたスマートフォンの台数はゼロ
⑧:フォードは最近、ミネソタ州セントポールの工場の閉鎖を発表した
この工場は「レンジャー」の生産を行っていたが、これにより、750人の労働者の雇用が失われた
情報元: Economy In Crisis
⑨:DELLは、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラムの最後の大規模な米国製造工場を閉鎖すると発表した。約900人の仕事が失われる
情報元: Statesman
⑩:1999年から2008年にかけて、アメリカの会社の海外法人の雇用は30%増の10万人に。一方、アメリカ国内では8%減
情報元: Tax Analysts [PDF]
⑪:1959年には、製造業は米国経済の28%を占めていた。 2008年には、11.5%となった
⑫:2011年8月、中国との貿易赤字は過去最高となる290億ドル(約3.16兆円)を記録した。
情報元: Voice of America.
⑬:2010年、アメリカのコンピュータ製造業に携わる労働者の数は1975年より少ない
情報元: Businessweek