性別間の賃金格差はどこから生まれるか
男女の賃金格差を説明する理由の一つとして、女性が、数学の能力が重要である科学(Science)、工学(Technology)、エンジニア(Engineering)、数学(Math)-といったいわゆるSTEM職に就いていないから、というのがあります。
このような「女性は数学に向いていない」といった考えは洋の東西を問わず、日本でも昔から根強く存在する意見ですが、果たして本当に女性は数学に向いていないのでしょうか?ヒントとなる一つの調査結果が発表されました。
男女で数学能力の違いは無い
今回、コロンビアビジネススクール、シカゴ大学ビジネススクール、およびノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の研究者らが行った実験によれば、男女間において数学的な能力に大きな差は無かったそうです。にも関わらず、外見的特徴のみが示された面接実験では、明らかに男性の方が女性より合格になりやすかったとのこと。
これは、一般的に女性は自身の能力を実際より過小に報告する一方で、男性は自身の能力を過大に報告する傾向があるためと研究者達は説明しています。
そして、これが”男性に比べ女性は数学ができない”という社会一般のイメージに繋がっているとのこと。同じようなイメージは雇用者も同じように持っているため、STEM職の雇用では、女性よりも男性のほうが雇用されやすいとのことです。
実際のところ、アメリカではSTEM職に就く女性は、男性のほぼ半数ほどしかいません。
加えて、この”女性は数学ができない”という社会観念は、幼少の頃から女性に対して自身が数学や科学に向いていないと思わせ、その結果、女性に自然科学・工学系の学部を専攻することをためらわせたり、例え専攻したとしてもSTEM職に就こうすることを遠ざけさせることにつながっているのだそうです。
日本においても、現在、STEM職に関連した学部に進学する女子学生は女性全体の15%しかいません。加えてSTEM職に就く女性の割合は欧州で女性全体の約12%、米国では同26%となっています。
参考:
THINK PROGRESS:Women Are Less Likely To Get Hired In Math Jobs Even When They Perform As Well As Men