小池百合子氏の新党「希望の党」に対し、寄せられる”ポピュリズム政党”の声
・そもそも「ポピュリズム populism」ってナニ?「ポピュリスト」とのちがいは?
・ポピュリズム populism
【意味】
人々にウケの良いことだけ言って人気をあおること。実現可能性や実行力を無視して、プレゼンだけうまい政治姿勢のこと。
また、このプレゼンだけ上手い人々のことを「ポピュリスト」と呼ぶ。
【特徴】
(1) カリスマ的指導者
カリスマ的な指導者による、煽動・煽りの類がある
(2) 経済的苦境に立つものへ見せる同情の姿勢と、異なる実際の行動
社会的に報われない人々(低賃金労働者など)に対し、同情と憐憫を表情を浮かべ、不満をくみ取るかのような姿勢を見せるが、実際には、彼らのためになるような政策は行わないことのほうが多い
(3) エリート層への嫌悪。相手の意見や議論を無視し、実行・決断を優先する
主たる支持層が社会的に報われない人々であるため、社会的に既得権を持つエリート層(知的・文化的・経済的すべて)に対して、冷淡な姿勢をとることが多い。
これらのエリート層が行うことの多い議論・熟慮・思考といったものを軽蔑し、反対派との議論を無駄なものとし、批判的な意見には耳を傾けない。
議論より、実行や決断が重要なものだと位置づける。行動主義。
反対派との議論を無駄なものとし、重要なのは議論ではなく決断や実行とする
(4) マイノリティ層に対する非難
支持者層へ一種の憂さ晴らし・パフォーマンスとして、社会的に保護されているとされるマイノリティへの非難をおこなうことで広範な人気を獲得する
(5)常に「敵」を作って人気を維持する
要するに、実現不可能なウケの良いことを並べているだけなので、仮に政権を獲得しても掲げていた政策は実現できないことが多い。
その場合、仮想敵を作り、その集団による妨害のために政策が実現できていないとして支持者をなだめる。
その場合の「敵」は、先ほどの (3) 知的・文化的・経済的エリート層 (4) マイノリティ層が選ばれることが多い。
【「ポピュリスト」と呼ばれている人の例】
ドナルド・トランプ(アメリカ大統領)
マリーヌ・ル・ペン(フランス国民戦線党首)
オルバーン・ヴィクトル(ハンガリー首相)
フラウケ・ペトリ(ドイツのための選択肢党首)
シルヴィオ・ベルルスコーニ(イタリア元首相)
ウラジーミル・プーチン(ロシア連邦大統領)
ウゴ・チャベス(ベネズエラ元大統領)
ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ (フィリピン大統領)
毛沢東 (中華人民共和国 元国家主席)
フアン・ドミンゴ・ペロン(アルゼンチン元大統領)
ナイジェル・ファラージ (イギリス独立党党首)
【世界での受け止められ方】
一般的に、第二次世界大戦でのポピュリズム=ファシズムによる戦禍を被ったヨーロッパでは否定的な意味合いで用いられる。
その一方で、宗教的原理主義(福音主義)やプラグマティズム(実用主義・道具主義)の強い影響の下、選択的な反知性主義・反エリート主義の風土が色濃いアメリカでは、肯定的な意味合いとして用いられることも多い。
・小池百合子氏&「希望の党」に対するTwitterでの反応
あらためて振り返って見るに「しがらみのない政治」も「AIが決めました」も「アウフヘーベン」も「日本をリセット」も、要するに「あたしは細かい説明はしません」という以上の意味はないわけで、要するにこの人はキャッチフレーズを連発するだけで、何も説明していないのだな。
— 小田嶋隆 (@tako_ashi) September 27, 2017
私は過激なリバタリアンで、社会主義には反対だが、次の選挙では、少なくとも、比例は共産党に投票するしか選択肢はない。小池のポピュリズムは全体主義への道だ。安倍と野合して憲法改悪を目指すだろう。国家は国民の道具だということは、繰り返し強調しなければ、国民は政権の奴隷になってしまう。
— 池田清彦 (@IkedaKiyohiko) September 28, 2017
前原さんは、まっとうな保守を目指していたはずだ。対抗馬だった枝野さんは、まっとうなリベラルを目指していたはずだ。両者が争った代表選と同じ月のうちにどちらも目標でなくなり、ポピュリズムの党になだれ込んで行く。嗚呼、これを悲劇と言わずして何と言おう。
— 玉井克哉(Katsuya TAMAI) (@tamai1961) September 27, 2017
ある政治家が小池都知事のことを「刹那主義の権化」と評した。つまり、「先の見通しなど考えず、その瞬間、瞬間で判断する人」ということ。「いま人気が出ればよい、その場がしのげればよい」というのが彼女の判断基準という(拙著『都知事失格』に引用)。刹那的ポピュリズムはやはり怖い。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) September 25, 2017
小池新党は政策らしい政策もないし純粋なポピュリズム政党だから、今回勝利しても近いうちに再編が起こるのは目に見えている。最終的にどうなるかわからないけどこの流れだと自民党と希望の党(の後継)の大連立で小池首相とかもありうるかもね。「反安倍であればなんでもいい」こそ危険だった。
— 東浩紀@一部禁酒中 (@hazuma) September 27, 2017
権力の頂点に立つことしか関心のないポピュリスト小池氏が、政権を取ったとしても長続きしない。すぐに四分五裂するし、ポピュリズム政党の賞味期限などすぐに切れる。
しかし、その短期間の間に破局的なダメージを社会と経済と国際関係にもたらすから危険である— masanorinaito (@masanorinaito) September 28, 2017
今、衆議院が解散された。10月10日(火)公示、22日(日)投票。これから何が起こるか分からないが、国家百年の大計を掲げて選挙戦を戦うべきだ。ポピュリズムの誘惑に負けてはならない。2009年夏「政権交代」のスローガンで権力を掌握した民主党政権の「成果」を思い起こしたほうがよい。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) September 28, 2017
前原さんの言うとおり誰も排除しないとするならば、民進党に小池都知事、若狭さん、中山夫妻等々が加わり、看板だけ変えてみましたということになる。だが、そんな馬鹿げたことを許すような小池都知事ではないだろう。無慈悲なる小池流ポピュリズムは、「血祭り」にあげる「敵」を求め続けて成立する。
— 岩田温@『流されない読書』発売中! (@iwata910) September 28, 2017
小池百合子を見下し嘲笑おうとする日本のリベラルたち、選挙戦でトランプを嘲笑った末に彼を大統領にしたアメリカのリベラルの劣化コピーにしか見えない
— 中田考 (@HASSANKONAKATA) September 27, 2017
小池百合子さんに関しては、説明する能力がないというよりは、説明せずに済ませる異様な能力を持っていると思っています。そういう意味で強く警戒しています。
— 小田嶋隆 (@tako_ashi) September 27, 2017
参考文献
リチャード・ホーフスタッター『アメリカの反知性主義』みすず書房、2003年
ヤン=ヴェルナー・ミュラー『ポピュリズムとは何か』2017年
ブリタニカジャパン「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」