【データ】日本は極端に貧しい人は少ないが、格差はひどい
数年前のピケティ『21世紀の資本』ブームの際、「格差なんてどれだけあっても別に問題ない。重要なのは格差ではなく、貧困では?」なんて批判が主流派経済学者(例えばマンキュー)などから寄せられたものですが、その言葉は日本の状況に対しても寄せられそうです。
データの数々は日本の「貧困」の実態を示しています。
①:世界の他国と比べて、極端に貧しい人は日本では少ない
・貧困から生活必需品が買えなかった人の割合
(国名:日本以外50音順)
2003年比で改善傾向がみられる国を赤太字、改悪傾向がみられる国を紫太字で示しています。中国やインドネシア、ロシアなど発展が続く途上国で改善傾向が明確な一方で、アメリカやフランスで悪化傾向が見られます。
2013年 | 2002年 | |||||
食料 | 医療 | 衣服 | 食料 | 医療 | 衣服 | |
日本 | 2 | 3 | 3 | 4 | 4 | 5 |
米国 | 24 | 31 | 27 | 15 | 26 | 19 |
英国 | 15 | 10 | 19 | 11 | 11 | 20 |
イネ | 25 | 37 | 31 | 37 | 48 | 37 |
伊 | 10 | 15 | 23 | 11 | 12 | 16 |
韓国 | 26 | 35 | 8 | 18 | 15 | 12 |
中国 | 8 | 30 | 14 | 18 | 45 | 23 |
独 | 8 | 10 | 10 | 5 | 8 | 10 |
仏 | 20 | 19 | 23 | 8 | 5 | 12 |
メキ | 53 | 51 | 54 | 44 | 45 | 43 |
露 | 23 | 33 | 34 | 50 | 54 | 68 |
出典:Pew research center ”pew global attitudes project report” May 23 20
表記注:イネ…インドネシア
②:日本は相対的貧困率は高く、格差が激しい
一方でOECD(いわゆる先進国)諸国において比べると、日本は相対的貧困率が高く(14.9%;2004年)、格差が著しい、激しい国だということがわかります。
相対的貧困率・・・等価可処分所得が全人口の中央値の半分未満の世帯員がいる率のこと。一般的に、この値が高いほどその国内において格差が激しい。
出典:OECD(2015) ”Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries”
日本は2004年のデータ。
・OECD各国の相対的貧困率の比較(2000年代半ば)
相対的貧困率 | |
メキシコ | 18.4 |
トルコ | 17.5 |
アメリカ | 17.1 |
日本(2004年) | 14.9 |
アイルランド | 14.8 |
ポーランド | 14.8 |
韓国 | 14.6 |
スペイン | 14.1 |
ポルトガル | 12.9 |
ギリシャ | 12.6 |
オーストラリア | 12.4 |
カナダ | 12.0 |
ドイツ | 11.0 |
ニュージーランド | 10.8 |
OECD平均 | 10.6 |
ベルギー | 8.8 |
スイス | 8.7 |
イギリス | 8.3 |
スロヴァキア | 8.1 |
ルクセンブルク | 8.1 |
オランダ | 7.7 |
フィンランド | 7.3 |
アイスランド | 7.1 |
ハンガリー | 7.1 |
フランス | 7.1 |
ノルウェー | 6.8 |
オーストリア | 6.6 |
チェコ | 5.8 |
スウェーデン | 5.3 |
デンマーク | 5.3 |