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”見えない高税”社会保険料により、低所得の若者ほど苦しむ状況が続いている

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”見えない高税”社会保険料により、低所得の若者ほど苦しむ状況が続いている

次のようなツイートが、話題になっていました。

お年寄りたちに見せると驚かれるのは手取りじゃなくて、社会保険料な。自分たちの世代は数千円だったらしいから、給料の1割以上引かれてるの見ると「えっ?」ってなるよ。「あなた達が少ない少ない言ってる年金をこうやって払ってます」って言うと嫌がられるのでおススメ。

このツイートに関し、社会保険料について考えてみたいと思います。

◆隠れた高税、「社会保険料」の負担が増している

近年の急速な高齢化の結果、ここ最近においてべらぼうに高くなっているのが社会保険料(年金保険料・健康保険料)。

他国と比べても、国民所得比における日本の社会保障負担率の高さをうかがい知ることができますが、10年前においてはこの負担率は14%ほどでした。

しかも社会保険料というものは、消費税と違って”見えない税”ですから、その負担増が消費税ほど騒がれることがないのが余計にタチの悪いところでしょう。

・国民負担率の国際比較

出所:財務省

くわえて下図を見ると、税負担が下がる一方で、社会支出の急激な増加ないし社会保障負担の伸長が起きていることが分かります。これは今後、ますます社会保険料負担が増加することを意味します。

・高齢化の進展と租税負担の推移

出所:宮島洋(2016)「税制と社会保障ー年金を中心として」

◆社会保険料という、貧しい若者ほど負担が高く苦しむ仕組み

社会保険料負担とは、次の2点において特徴があります。

【社会保険料の特徴】

その①:若年層から高齢者へと所得を移転するものとなっている

高齢層は、現役層と同じ額の所得でも社会保障の純受取になる。

・所得階層別、現役層と高齢層の社会保障の純受取

出所:小塩隆士 (2014) 第14回税制調査会 提出資料

・高齢層の負担率は現役層よりも低い

出所:小塩隆士 (2014) 第14回税制調査会 提出資料

その②:貧乏人ほど負担が高いものとなっている(逆進性)

逆進性、すなわち貧しい低所得の人ほど負担が高いものと言えばまず思い浮かぶのは消費税。しかしながら、社会保険料も十分に逆進性が高いものとなっています。

しかも消費税と違って、社会保険料は必要悪だが世の中に「必要なもの」「重要なもの」として認識されていますから、値上げが起きても反対論が起こりにくく、その分タチが悪いものとなっています。

・所得階級別にみた保険料負担率

出所:小塩隆士 (2014) 厚生労働省・社会保障審議会医療保険部会提出資料

現状の社会保障・再分配政策においては「貧しい若者(主に非正規雇用)」「豊かな若者(主に正規雇用)」から「貧しい高齢者」「豊かな高齢者」へとおカネが渡っているのが実情であり、すなわち「非正規など貧しい若者」が一番苦しむ仕組みとなっています

一橋大学の小塩教授によれば、20歳から59歳の非正規雇用労働者の実に30%以上が貧困に苦しんでいると推計できるとのこと。

高齢者の健やかな毎日の生活の陰では、見えない高税に苦しむ若者の姿があります。

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