アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ

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アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ

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アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータを紹介します。

なぜアメリカを紹介するのかということですが、それはアメリカで起こったことは時を遅くして日本でも現れることが多いからです。そのためアメリカ社会を見ることは今後の日本社会を見据えることにつながります。

アメリカでは格差の拡大は70年代から始まりました。一方、日本では本格的な格差の到来は2000年代になって見られるようになっています。最近ではOECDも警告していますが、今後、このまま対策を行わない状態が続いた場合、日本社会の格差拡大はアメリカ並みになるとみられています。

1. 上位1%が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多い。

アメリカではトップ1%グループが中央値の288倍の富を持つ

上位1パーセントが持つ資産が、中央値(総データのうち、中央に来るデータ)の何倍かを示すグラフ。1962年では上位1パーセントの資産は中央値の125倍だったものが、2010年では288倍になっている。

2. 上位1%の資産で全米の33.8%を占有、2~10%は37.7%、上位11~50%は26.0%、下位50%は2.5%

アメリカの資産分配

2007年のデータ

3.上位10パーセントで所得は5割、資産は7割を占める

世界各国のトップ10パーセントの所得資産シェア

income(所得)とwealth(富、資産)において、それぞれ上位10パーセント層が占める率を示したグラフ。なお、日本ではそれぞれ41%と34%

4. 上位1%の富裕層がUSの40%以上の金融資産を持ち、上位20%で90%以上を占める

アメリカの金融資産の分配

2007年のデータ。「金融資産のほうが所得より格差が生まれやすい」というのは、最近話題のトマ・ピケティ『21世紀の資産』に通底するテーマでもあります

5. 下位50%のアメリカ人が持つ総資産が全米の総資産に占める割合は、たったの2.5%

資産はストックであり、フローである所得より格差が開きやすい

6. 上位1%の所得シェアは1980年では10.0%だったが、2008年には21%に増加。これは1920年代と同レベル

アメリカの不平等は1920年代と同レベル

上から、上位10%、上位5%、上位1%、上位0.1%の所得シェア。第2次世界大戦後低下していた上位層の所得シェアが80年代から上昇し、2008年には上位10%で50%近くを占めていることがわかる

7. 1979年から2007年で、アメリカの上位1%の平均所得は34.7万ドルから130万ドルに上昇したが、中間層はわずかしか上がっていない

世界各国のジニ係数

各国のジニ係数(数字が高いほど格差の存在が認められる)のグラフ。70年代まで横ばいだったアメリカ(黄土色)の所得格差が、80年以降広がっていることがわかる。

このグラフからは他にも次のようなことがいえる。

・全体的にブラジル(紫)・メキシコ(緑)などの中南米地域が最もジニ係数が高い

・次にアジアも不平等が高いといえる。(中国、インドなど)

・それらに比べると他先進国は相対的には平等。
・フランスはかつて不平等度の高い国の一つであったが、戦後一貫して平等化され今ではジニ係数の低いグループに入る。

・最も平等な国は北欧諸国(ノルウェー、スウェーデン)で、ジニ係数は20台半ば。

8. アメリカの2002年から2007年のインカム・ゲインの内およそ7割は、上位1%層に入った。これは1920年代と同レベル

インカムゲインはほとんど富裕層に

インカム・ゲイン=株式、債券の配当および利子収入など資産を保有することによって得られる収入のこと

 9. 世界人口の半分近い30億以上の人は、1日150円以下で生活している

30億人以上が1日1ドル

貧困ライン(1日1.25ドル=約150円の収入)以下で暮らす人々が国民人口に占める割合を示したマップ。サハラ砂漠以南のアフリカ、中南米に特に貧しい人が多いことがわかる。

10. 米国一流企業CEOの平均所得は、労働者の平均所得の343倍

CEOと労働者の所得格差

2012年。なお、ここでいう「1流企業」とはS&P 500のことを指す。またCEOの収入内訳は上図の通り。ストックオプションによる収入が多いことがわかる。

11. 低所得職の比率はこの30年でじわじわ上昇、現在では41%が低賃金職

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1982年、中産階級職は職全体の52%を占めていたが、2010年には42%に低下した。その一方で、82年には30%ほどだった貧困階級職は2010年には41パーセントまで上昇した。

12. 1979年と比べ、高校中退者の週給は20%下がり、大卒者の週給は20%上がった

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2009年のデータ。上から大卒、短大、高卒、高校中退者の週給の推移を示している。

13. リーマンショックで、GDP比での労働者収入はこの50年間で最低のレベルになった

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14. アメリカ人の半分は年収300万円以下

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青=平均収入、赤=年収の中央値

15. 1993年と比べて、アメリカのGDP(国内総生産)は37%伸びたが世帯所得は5%しか伸びていない

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2014年のデータ。青線がGDP、赤線が家計収入。93年を100としてある。

16. 一人当たりの平均資産では世界4位に入るアメリカも、中央値ではランク外

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上が平均資産で下が中央値の資産の表。日本は平均資産ではランク外だが中央値では6位に入るので、ここからもアメリカに比べればまだ平等な社会だといえる。

17. アメリカの5人に1人のこどもが貧困線(1人当たり、1日1.25ドル)以下の生活を送る。6人に1人の老人が貧困線以下の生活を送る

untitled3上から、子供、大人、老人、白人、黒人のデータ。子供と老人の貧困率が高いほか、白人と黒人の人種間での貧困率もかなり異なる

18.アメリカの子供の貧困率は世界で2番目に高い。日本は9番目に高い。

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19.アメリカは先進国の中で最も相対的貧困率が高い。日本も高いグループに位置する。

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相対的貧困とは「ある国や地域の大多数よりも貧しい相対的貧困者の全人口に占める比率」であり、この率が高いほど格差のある社会といえる。

20. 2012年、1か月以内にフードスタンプ(低所得者向けの食料費補助)を受給したアメリカ人は6500万人に上った

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フードスタンプとは日本でいえば食糧品向けのみに絞った生活保護費のこと。受給者は専用カードを渡され、これで食料品のみを買うことが出来る。また、6500万人はアメリカの人口の5分の1の数

21.アメリカの子どものホームレスは約120万人。半分を6歳以下が占める

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子どものホームレスを州別に示した表。人口の多いカルフォルニア、ニューヨーク、宗教と差別と貧困が根強い所謂”ブラックベルト”のテキサス、フロリダ、以下ミシガン、イリノイと続く

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こちらは子どものホームレスを年齢別に示した図。6歳以下が半数を占め、以下6-12歳が34%、13-17歳が15%を占める。

22. 食事を無償で提供する場所に通うアメリカ人は2006年より46%増加した

23. 上位1%の富裕層が、世界資産の38%を保有している

24. 世界の80%の人は所得格差が拡大している国に住んでいる

25. 先の金融危機の1年後、上位25社のヘッジファンドは総250億ドルの収益を得た

26. ビル・ゲイツが持つ資産は500億ドル。これは世界140国の年間GDPより多い

27. アフリカ大陸の国の資産をすべて合わせても世界の総資産のうち1%

28. アメリカで上位0.01%は平均所得2734万ドル。一方下位90%は平均3.12万ドル

29. アメリカ下院議員で100万ドル以上の資産所持者は58%。なお、100万ドル以上の資産保持者はアメリカ全体のうち1%にすぎない

30. 上位5%富裕層が、アメリカのすべての消費のうち37%を行っている

 参考文献:

・New York Times:Our Fantasy Nation?

・Institute for Policy Studies

・Congress Joint Economic Committee:Income Inequality and the Great Recession

・Mother Jones:It’s the Inequality, Stupid

・Harvard Magazine:After Our Bubble Prospects for American economic recovery—and cautionary lessons from Japan

・Homes for Hope:The American Middle Class Under Stress

・New America Foundation

・New York Times:It’s the Inequality, Stupid

・CNN Health:Children’s quality of life declining, says report

・New York Times:Food Stamp Use Soars, and Stigma Fades

・USA Today:For the wealthy, a return to luxury spending

・USA Today:New breed of Americans going hungry

・MyBudget360.com:How much does the average American make in 2010?

・Homes For Hope:Global Poverty Statistics

・The Economic Times:Bill Gates richer than 140 nations

・THINK PROGRESS:America’s 1 Percent Have 288 Times As Much Wealth As The Median Household

・内閣府:平成25年版 子ども・若者白書

・独立行政法人 労働政策研究・研修機構:過去20年で高齢層の貧困率が低下、子供や若年層で上昇―OECD格差報告書

The effects of poverty on a student’s academic success

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コメント

  1. 名無しさん@ソキウス より:

    私が通っている大学出身の方がこのような記事を書かれていることに感動しました。
    アメリカの貧困問題はメディアによって美化された(?)日本人の一般的認識よりも深刻なのですね。
    GDPが中国と一緒というところに、アメリカが中国に対して問題視している格差と人権の問題が説得力を持つのかどうかが怪しくなってくるレベルですね。
    ともあれ裕福なアメリカ人は頭がいいはずなのに短期的な利益を重視しすぎて、自分の地盤を崩壊させ自らを没落させていく道を選んでいるということに何故気付かないのでしょうかね?
    有益な情報をありがとうございます。統計が一番頼りになります。
    あと、名著の記事も参考にして、購買北部店か北図書で手にいれて借りようと思います。ありがとうございます。

  2. 名無しさん@ソキウス より:

    あれ、このサイトはコメントがサイト内に表示されないのがデフォルトでしょうか?
    コメントが確認できないのですが。
    遅れているのであれば結構です。

  3. 小澤 司 より:

    >名無しさん様

    コメントありがとうございます。本当はもっとこのような知的な方面の記事を書いていきたいので、このようなコメントは非常に記事作成の励みになります。

    またコメント表示ですが、日ごろスパムコメントや広告コメントが多いため、承認制となっています。申しわけありません。

  4. 篠原克彦 より:

    政治家と富裕層がタッグを組んでいるので格差が広がる一方なのだ。米国ではついに庶民の怒りが爆発してトランプ大統領が誕生したがトランプ一族も富裕層なので格差が少なくなるかどうか怪しい。サンダースが大統領になっていれば期待できたのだが米国は社会主義者が嫌いなようなのでそこまでは行かなかった。

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