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最低賃金の引き上げは犯罪の増加を生むのか?

最低賃金と犯罪率

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世界各地で最低賃金引き上げの動き

現在世界各国では最低賃金の引き上げが叫ばれており、例えばアメリカではオバマ大統領が2014年の一般教書演説において最低賃金引き上げに向けた取り組みを表明しました。この取り組みでは連邦政府の契約職員の最低賃金を現行の時給7.25ドルから約40%増の10.10ドルに引き上げ、さらに連邦最低賃金も将来的に時給10.10ドルとすることを目指すとしています。

米国予算局(CBO)の見通しによれば、連邦最低賃金が10.10ドルに引き上げれられた場合、2016年終盤までに約50万人の雇用が失われる一方で、最低賃金を引き上げれば、10.10ドルの場合で90万人の国民が4人家族の家計の年間収入を2万4100ドルとする貧困ラインを超え1650万人の所得が増加し、9ドルへの引き上げでも、貧困ラインを超える人の数は30万人に上るとされています。

最低賃金の引き上げの是非は?

最低賃金の引き上げについてはその是非がさまざまに述べられているわけですが、今回、The B.E. Journal of Economic Analysis & Policy誌に、Andrew Beauchamp氏とStacey Chan氏による最低賃金と犯罪の関連性について述べた論文が掲載されていたので紹介します。

The Minimum Wage and Crime

概要:
We use the National Longitudinal Survey of Youth 1997 cohort to measure the effect of increases in the minimum wage on self-reported criminal activity and examine employment–crime substitution.Exploiting changes in state and federal minimum wage laws from 1997 to 2010, we find that workers who are affected by a change in the minimum wage are more likely to commit crime, become idle, and lose employment.Individuals experiencing a binding minimum wage change were more likely to commit crime and work only part time.

訳:
最低賃金の変化は犯罪と関連するのか?実証的には最低賃金の上昇は低熟練労働者の失業をもたらす。経済的な理由上により、解雇は若者を合法的な仕事から犯罪へ駆り立てる。しかしながら、賃金上昇にはまた、雇用者の犯罪を犯すことへのコストを上げるという相殺効果もある。我々は賃金上昇がもたらす犯罪活動の増加効果の測定と雇用と犯罪の調査のために米国パネル調査を用いた。

1997年から2010年における、最低賃金引き上げの変化を調べたところ、最低賃金が上昇したことにより労働者は職を失い、犯罪を犯しやすくなった。最低賃金の上昇により、人々は法を犯しやすくなり、また働いてもパート・タイムのみという可能性が高くなった。

参考文献
Reuter.com:米最低賃金引き上げ、16年までに50万人の雇用喪失=議会予算局

Objective The B.E. Journal of Economic Analysis & Policy (BEJEAP) welcomes submissions that employ microeconomics to analyze issues in organizational economics,...
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