以前「核武装、滅私奉公、反ワクチン。話題の武藤貴也議員はこんな人」という記事を書いたわけですが、議員の発言を調べていくうちにトンデモ発言のオンパレードから頭が痛くなってきた(あと最近叩かれ過ぎで少しかわいそうに思った)ので、多少はまともなことも言ってないかと更に調べてみたら、ありました。
大学学費の無償化を主張
今の日本のように、高校を卒業して大学に行きたいと思っても、約100万円もの学費がかかるのでは本人の資金力では到底行けません(国立大学で約50万ですがこれも多額)。当然、殆どの学生が親を頼っているわけですが、しかしそれでは親の収入で大学にいけるかどうかが決められてしまい、非常に不公平です。また何とか大学にいけても毎日深夜までアルバイトをして体を壊したり、学校を去らざるをえない学生が増えていることも事実です。
実は、ドイツもフランスもデンマークもフィンランドもノルウェーもスウェーデンもギリシャもハンガリーもポーランドもチェコ共和国もアイルランドもスロバキアもルクセンブルクもみんなみんな高校も大学もタダです。
調べてみるとすぐわかることですが、国際的には高校も大学も学費は無償化されている国が殆どです。それは「教育に経済的理由で不公平があってはいけない」というごくごく当たり前の考えが世界的に認められているからです。具体的には、1966年国連で採択された「国際人権規約」という取り決めがあり、その第13条2項bには「高校教育の無償化」、13条2項cには「大学教育(高等教育)の無償化」が謳われています。この条約の批准国は160カ国、日本も批准国です。しかしながら、なんと日本とマダガスカルはこの規約を批准しながら、同条項を留保し、実行していません(マダカスカルは国内総生産125位の貧しい国なので理解しなければなりませんが・・・)。
いずれにせよ日本がなかなか無償化しないのは世界的に見れば信じられません
オフィシャルブログ 2012年3月2日付「学費無償化してないのは日本とマダカスカルだけ!」より
以前当サイトでも「日本の大学学費の高さ、奨学金制度の弱さがわかるOECDのデータ5つ。学費無償化してないのは日本とマダカスカルだけ」という記事で取り上げた通り、日本の大学学費をめぐっては、世界的には異様といえる、高額な費用と(現在国立大学で入学金含め年90万円。しかも年々上昇中) 脆弱な奨学金制度が未だ続いています。
それにもかかわらず、大卒というメリット (大卒と高卒では9000万円ほど生涯収入が異なる) を受けるのだから、その費用を負担しても当然という「応益負担」の理屈の下、見直しの機運は高まっておりません。
しかし、スタートアップ時点での平等を志向し、競争を促すことにより社会の発展を目指す(=「機会としての平等」)のが本来の「保守」の思想であり、その思想からは世帯収入の如何に問わず、誰もが大卒を目指せる社会が理想とされるはず。
例えばあしなが育英会の調査では、大学への進学をあきらめた遺児のうち、実に53パーセントが経済的な理由により進学を断念したというデータが出ていますが、そのような社会は本来の「保守」の観点からすれば改善されるべきものでしょう。
仮に自民党の議員の皆さんが本当に「保守」を自称するのならば、「機会としての平等」、しいては大学の学費についての見直しについても考えていただきたいものです。
参考文献: