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原子力発電の現在を示すチャート・図表グラフ6種類。運用コスト高による廃炉が相次ぎ、建設遅延も問題に

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原子力発電(原発)の現在を示すチャート・図表グラフ6種類

化石燃料から再生可能エネルギーへ移行する間のテクノロジーであることを意味する、「ブリッジングテクノロジー(架け橋のテクノロジー;リンク先英語pdf)」とも呼ばれている原子力発電

その言葉通り、確かに原発に関するデータを見る限りでは、世界的な趨勢としては遅々としてしかし確実にその存在感は弱まっているようです。

例えば「世界原子力産業ステータスレポート2014」が報告するところでは、1996年において、原子力発電は世界の電力の17.6パーセントを供給していました。 一方、2014年にはそれが10.8パーセントにまでダウンしています。

とはいえ、それは再生エネルギーへの移行が順調に進んでいるわけでは決してなく、原発の発電シェア低下の大部分は福島事故以後の日本の原発停止に起因するもの。

しかしフランスからベトナムまで、多くの建設中の原発がコスト超過や労災、そして強度不足により計画が停止。アメリカではコスト高による廃炉も相次いでいます。

今回は同レポート2014から、興味深いグラフを6つ紹介します。

1)原子力エネルギーの発電量は、2006年をピークに降下中

原子力発電の発電量(棒グラフ)は、2006年の2,660TWhをピークに低下を続け、2013年に2,359TWhを記録しました。同様に発電量に占めるシェアも、ピークの17.6%から10.8パーセントまで降下しています。

2)現在、世界で運転中の原子炉は388基。かつては438基。アメリカでは、コスト高を理由に廃炉が相次ぐ

2002年において438基稼働していた原子力発電所は、2014年には388基まで減少しました。

この稼働中の原発数が減少した最大の理由は、やはり2011年の福島事故がきっかけとなっています。

例えば48基の原子炉を持つ日本は、2013年9月以来、すべての原発が稼働停止となりました(ただ2015年8月からは一部原発が稼働。また現在17基の原発が稼働申請中)。

一方ドイツでは福島の事故をきっかけに、原子力発電のプログラムを2022年までに全て廃止することが決定。

またアメリカでもフロリダ州・ウィスコンシン州・バーモント州・カリフォルニア州などでは原発のコスト高、またはシェールガス・再生エネルギーのコスト低下を理由として、2012年から5つの原発を廃止する予定

実際2013年春には、アメリカでは約15年ぶりとなる、キウォーニー原発(ウィスコンシン州)の廃炉が行われました。

3)原子力発電所を運転する国は、現在31ヶ国

現在、原子力発電所を運転する国は日本を含め31か国。また総発電量では圧倒的な多さを示しているアメリカですが、原発は同国の総発電量のうち19%を占めるにすぎません。

原発依存度においてはフランスがとりわけ高く、1970年代の石油ショックから火力発電からの脱却を目指した結果、現在同国では、電力の75%が原子力発電からのモノとなっています。

同様に ベルギー・スロバキア・ハンガリーといった国々も原発依存度が高く、それぞれ総発電量のうち50%ほど原発が占めています。

4)現在建設中の原子炉は67基。建設の遅延が問題に

1980年代にピークを迎えた原発の建設は、その後停滞を迎えた後、2000年代後半に再び増加傾向に転じました。

しかしながら、現在建設中の原子炉はいずれも開発の遅延に苦しんでおり20年以上にわたって「建設中」となっている原子炉も少なくありません。

例えば2016年に営業が開始となったアメリカ・テネシー州の原子力発電所・ワットバー2号機の建設が始まったのは1972年。同原発は、電力需要の伸び悩みなどにより1985年に建設が一時中断され、その後2007年に再開、ようやく今回の運転開始に至りました。

 

5)今後、原発建設予定の国は14カ国。当初の3倍以上の予算がかかっている原発も

現在、原発を建設予定とする国は14カ国。

そのうち中国が並みはずれて建設予定基が多く、同国は2018年までに28基の原発を建設予定としています。

なお、現在の中国のエネルギー供給に占める原発の割合は0.8%。また同国は再生可能エネルギーが11.9%を占めると、再生可能エネルギーへの意外な依存度の高さがうかがわれます。

出典:テレビ朝日「原発は本当に経済的なのか」モーニングバード そもそも総研タマペディア、2012年3月29日

一方世界的に、原発の建設には延期が相次いでおり、コスト高が懸念されています

例えばフィンランドのオルキルオト原子力発電所4号機計画は、元々9年間の計画延期が発表されていたことに加え、2014年にはさらに5年間の計画延期が発表されました。これにより、当初の3倍以上の予算が計上されてしまっています。

なお数年前、放射性廃棄物の安全性を描いたドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』が放映され話題になりましたが、この作品の舞台がこのオルキルオト原子力発電所。

同様に、フランスのフラマンビル原発は、当初2007年に着工の予定が2017年まで延期されました。こちらも予算が当初の3倍以上にまで膨張。主な着工延期の理由としては労災があげられています。

6)今後さらなる原発の建設予定が無ければ、現在の原発は、2059年までには消滅

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世界の原子炉の平均運転期間は28.5年。

今後さらなる原発の建設予定が無ければ、現在の原子力発電所は、2059年までにはいずれも引退を迎えることになります。

参考文献:

world nuclear report ”The World Nuclear IndustryStatus Report 2014”

テレビ朝日「原発は本当に経済的なのか」モーニングバード そもそも総研タマペディア、2012年3月29日

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