性能向上著しい北朝鮮のミサイルと、続く同国の経済成長。データ6つ

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性能向上著しい北朝鮮のミサイルと、続く同国の経済成長

最近世間をにぎわせる北朝鮮のミサイル。独裁国家で貧しいはずの同国において、なぜ軍事開発が可能になるのでしょうか。その背景を探ります。

・北朝鮮のミサイルとその到達距離、性能向上

・北朝鮮のミサイルの到達距離

最近世間をにぎわせている北朝鮮のミサイル・ICBM(大陸間弾道ミサイル)。良く知られるテポドン2号の改良型で2012年に打ち上げに成功した「銀河3号」は射程距離が4,000-15,000 kmと、アメリカ大陸に到達します。

(下図では ⑥:ノドン ⑦:マスダン ⑨:テポドン・銀河3号)

図1 北朝鮮の各ミサイルとその射程距離

・北朝鮮ミサイルの性能向上

また日本経済新聞編集委員の高坂哲郎氏によれば、北朝鮮のミサイルは性能向上が明確になっており、2017年5月の実験で発射されたミサイルKN17にいたっては、自衛隊の防衛システムでは迎撃することができない高度に達したとのこと。

・北朝鮮のミサイル発射回数と核実験回数

また2011年の指導体制の変更以後、明らかにミサイル発射回数が増えています。

(ピンク丸が核実験回数)

図2 北朝鮮のミサイル発射回数と核実験回数

・金正恩以後での中国と貿易取引量の増加と経済成長

なぜミサイルを発射する資金的余裕があるのか。一つには北朝鮮の経済成長があります。

国連安保理決議では北朝鮮に対し、2006年から以下のような制裁を行っています。

  • 武器の禁輸(2009年からは対象品目が拡大され、「すべての武器および関連物資」が禁止に)
  • 北朝鮮からの石炭・鉄鉱石の輸入禁止(北朝鮮はこれら資源が豊富で、そのため戦後すぐは韓国より豊かな国だった)
  • 北朝鮮の関係者・企業の国外退去
  • 関連銀行口座の資産凍結
  • 貨物検査

しかしながら、これらの輸入禁止はあくまでも「軍事目的」用途に限定されており、例えば北朝鮮の石炭・鉄鉱石の輸出にしても、ここ数年において急激に拡大しています(図3)。

また、特に2010年ごろからにおいて中国との貿易取引量が急激に拡大しているのがわかります(図4、図5)。

図3 北朝鮮の輸出品目トップ5の変遷

図4 北朝鮮の輸出先トップ5の変遷

図5 北朝鮮と中国の貿易量の変遷

・世界のほとんどの国は北朝鮮と国交を結んでおり、北朝鮮は経済成長が続いている

そもそもにおいて、イメージと異なり北朝鮮は世界のほとんどの国と国交を結んでいます(図6)。

図6 北朝鮮と国交を結ぶ国 。緑が結んでいる国

また貿易の活発化を背景に、北朝鮮では経済成長が生じており、具体的にアナリストのアンドレイ・ランコフ氏によれば、現在、同国ではGDP成長率3〜4%の高成長が続いているとのこと。

一方韓国銀行は、北朝鮮の経済についてよりシビアかつ保守的な見解を示していますが、それでも2016年の北朝鮮の国内総生産(GDP)は前年比で3.9%の増加であったとしています。

韓国銀行によると、2016年の北朝鮮の国内総生産(GDP)は前年比3.9%増となった。鉱業やエネルギー部門の成長に加えて中国への輸出が成長を牽引(けんいん)した。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が進める核・ミサイル開発で緊張が高まるなか、米国は中国に対して北朝鮮との貿易を停止するよう求めている。

中国は北朝鮮にとって唯一の主要な同盟国、貿易相手国、支援国だ。

中国は今月、ドナルド・トランプ米大統領が主張するほど北朝鮮との貿易は伸びていないことを示すデータを公表した。中国商務省によると、今年1‐3月期の北朝鮮との貿易額は前年同期比で37.4%上昇したが、1~5月でみると、上昇率は13.7%にとどまった。

出典:bbc.com 「北朝鮮経済が17年ぶりの高成長=韓国銀」2017年7月21日

・ほかにもある、北朝鮮の外貨獲得ビジネス

そのほか北朝鮮は、ありとあらゆる手段を用いて外貨を獲得しようとしています。

①:銅像ビジネス

銅産出国である北朝鮮は銅像彫刻に優れた職人を数多く抱えており、かつ同国の職人たちが作りだす、社会主義的ファシズムテーマな銅像がアフリカ諸国の独裁者の間でウケがよいとのこと。

北朝鮮製の銅像としてもっともよく知られるのはセネガルの「アフリカ・ルネサンスの像」、高さ50m。

北朝鮮は銅像の輸出により、年間約1000万ドル(約11億2000万円)程度の収入を得ています。

ただ2016年に国連の北朝鮮への制裁項目に「銅像の輸出」が加えられたので、今後の状況は不透明です。

②:出稼ぎ労働者

国連の北朝鮮人権状況特別報告によれば、北朝鮮は外貨獲得のため世界各国に労働者を派遣しており、その労働者数は少なくとも5万人、派遣国数は17カ国前後、本国への送金額は12億~23億ドルととみられています。

派遣国はロシアやポーランド、中国、モンゴル、ミャンマーなど旧社会主義国・独裁国家といった国々が並びますが、その労働状態は長時間で不衛生な職場につかされるなど概して過酷なものとされています。

ネットメディアのVice Newsは、北朝鮮の出稼ぎ労働者を調査するドキュメンタリー番組を制作しています。

参考文献

CSIS Missile Defense Project The various North Korean ballistic missiles and their ranges

The Wall Street Journal ”The Global Web That Keeps North Korea Running”

This 2016 CFR Independent Task Force report, A Sharper Choice on North Korea, argues that China’s policy toward its neighbor will critically affect the fate of Asia.

Indian Strategic Studies ”The China–North Korea Relationship”

外務省「国際連合安全保障理事会決議第1874号 和訳」2009年

浅田正彦「国連による北朝鮮制裁と輸出管理財団法人 安全保障貿易情報センター、2009年

Wikipedia ”Foreign relations of North Korea” ttps://en.wikipedia.org/wiki/Foreign_relations_of_North_Korea

Frank, Ruediger “The 2016 North Korean Budget Report: 12 Observations”. 38 North. U.S.-Korea Institute, Johns Hopkins University School of Advanced International Studies. Archived from the original on May 4, 2017. Retrieved 1 May 2017.

高坂哲郎「脅威増す北朝鮮の弾道ミサイル」日経サイエンス 2017年9月号

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